短パン
白長靴
ヒラメ筋
残像
白っぽいTシャツを見た時からそう。
第一印象から「こうあってほしい」という俺の欲望を全て叶える風貌であった。
かな。
2015年1月。思い返してみればたった7年半前のこと。東京に引っ越してきた俺の胃と欲望を満たすためのマテリアル。
あまりにもラーメン二郎らしすぎる行列を捌く短パンのアニキは、とても通るキュートすぎるソプラノボイスで我々を店内に誘っていった。冬場だというのに滝のような汗をかく店主を見て、俺は「これがラーメン二郎か」と唸ったものである。
そこから3年程度で彼の姿は見えなくなった。その代わりに本店や、なぜが荻窪やら府中でよく見るようになった。そういうフェーズに入ったのだろうと思っていた。
俺は変わらず神保町を愛し、たまに見かけるようになった彼よりも先に店を出した千葉や大宮、ひたちなかのことを想いつつもまだかまだかと待ち望んでいた。
噂では小金井なき後の多摩地区を補填する国分寺エリア、と聞いていたが、国分寺に詳しい人間に色々聞いてみたものの、その様子は一切ないと。
その上での立川店の休業。この日を待ち望んでいた人間は多くいたことだろう。
俺は小窓をノックした。朝8時半。すでに2時間が経過した整理券配布から、俺は1時間半の遅れをとった。整理券に書かれた時刻は13:30〜。
近場に住むふざけたホンダとかいう男の家で寝るつもりだったのに、こいつはうまい具合に俺のことをかわしていった。
俺は家で今日行われているライジングサンロックフェスティバルへの想いを募らせつつ、さまざまな思い出が走馬灯のように浮かび上がるのを抑えきれなかった。
台風の昼間だっていうのにすっかり静けさを取り戻した一橋学園。
眠らずに昼が来てふらつきながら帰る俺。
俺のライジングサンは始まってくれるのか。
やれんのか。
山岡家稲穂店の代わりを務められんのか。
答えは有り余る麺量とブタの質量で返ってきたのであった。
こ、
こ、
こ、これは!?!?!?
嗚呼、神様よ。ファーストオーダーから大豚とか言っちゃう俺の愚かしさをお許しください。ピリつく店内を切り裂く大学生の話し声だけが俺たちを黙らせる。
そしてNSっぽい青丼は見事なまでにフェイクだった。
アブラ乗ったヤサイ食えば嗚呼…「アレ」の味がする。
ズルっとやれば嗚呼…
────神保町だ────
FZフォワードなお醤油感強目のブツ。嗚呼、完全にこれ…父系血統の色濃い性格が出過ぎたブツ。
こんなん…好きに決まってんだろ!最高だ!!
ブタさんも親譲りのゴロゴロ具合で完璧。
麺はちょっと平打ちのスパイラル感あるちょいヤワメのブツ。これだよこれ!こういうのがよかったんだ…
とか言いながら反芻しながら食ってたら思った以上の麺量。脳内によぎる「撃沈」の二文字。
嗚呼…想い出が走馬灯のように通り過ぎていく。しかし黒烏龍茶で流し込み難なくことなきを得た。
堪能した…
大満足完食フィニッシュムーブ深々と会釈して退店。
駅前で待っていたホンダというふざけた男と1分喋って電車に駆け込む。
家でピンクフロイドのライブ映像を垂れ流しにしながら課題をやる台風の1日。
急遽お願いした全休日だったが…充実したものになった。
通います。