余裕のある朝を過ごす
コーヒーを飲んで身支度を整え、ネクタイを締める。
ドアを開けて外へ出る。目の前に広がる住宅街、ビルの隙間から覗く朝日、小鳥の囀り、カラスの鳴き声、真下の公園での老人たちのラジオ体操、朝イチの波乗り、催す便意。
丁寧に入れた一杯のコーヒーが染み渡ったのを確認し
新聞を畳んだ一連の幸福な作業をしっかりと思い出せるのにも関わらず
家を出るときにちゃんと鍵をかけたか思い出せなくて泣く。
ケトルの中の水をほぼ使い切ったにも関わらず、ちゃんと電源を落としたかわからなくなる。
おまけにトイレの水を流したかどうかも定かではなくなる。
そして大体想像は当たっていた。駅の改札の前で鍵にくくりつけたSuicaが見当たらず、汗だくでダッシュして家に帰ってみれば玄関に鍵が刺さっている。念のために家の中に入ってると、ケトルは当然自動でスイッチが跳ね上がっているし、トイレも流してある。気を取り直して駅に向かう途中、気の狂ったジジイに絡まれて朝の気分は最低で終わる。
余裕のある朝を過ごす。
朝飯はいいや、母さん。あんたちょっとそういうことは早く言いなさい。うっせーな俺だって予定あるんだよ。あんたがちゃんと言わないからお母さん無駄骨じゃないのよ。昼に食えばいいだろ。あんたは別れた父さんと一緒よ!
家父長制に甘んじて生み出されただらしない長男坊!!あんたなんか産まなきゃよかった!!!
ハッ!夢か…今日はジャイアンとの大事なレース。早く両替町に向かわなきゃ。
そう意気揚々と歩いた俺は東海道を渡ったところで不幸にも黒塗りのサラブレッドに追突してしまう。
使い道のない下半身をかばい腹部上層と肝臓に重傷を負ったキリヲに対し、
種馬の主、ジャイアンが提示した示談の条件とは…
こ、
こ、こ、、、れは…??
島と呼ぶにはあまりにも巨大。核弾頭というよりもバスターマシン3号レベルの縮退炉搭載。
これがカツカレーの特異点か。
カツカレーか!?どういうこと!?
とか言いながらニンマリしながらアチャールっぽいものを摘んでいく。アチャー…ル?違う。この前菜的なものはあまりにも強大だ。
カレーをパクッとやれば嗚呼…甘え…どうやらこのスタイルを守ったままほぼ毎日メニューが変わる仕組みらしい。なんかがんこラーメンみたいだな、と思いながらもこのオレンジピール入りのカレーの甘さはヤバすぎた。
完全に脳汁出た。
カツもスパイシーで美味い。
載っているモノが多すぎてよくわからなくなったがブレの範疇。
堪能した。
サクッと完食軽く会釈してレジに1000円投げ込み退店。
だいぶ頭ぶっ飛んでしまった。
取材終えて帰還。
あまりにもやばかったジャイアン。
これっきりにはしたくない。