analog. 『ハーフandハーフ(カレーJAPAN・アナログリィィィィンカレー)350 生卵』
「デブ飯警察ですが」
はい。
はい?
「デブ飯警察、千住署の者ですが。お時間よろしいですか。」
はぁ
「あなたから新たなデブ飯の香りが漂ってきたんでねえ。ええ。それもえらくスパイスの香りが強いんですよ。ご同行願います。」
いや、ちょっと何言ってるかわからないです。急になんなんですか。警察…なんですか!?
自警団!?
「だってあなた、ニンニクくさいじゃないですか」
それはいつもでしょうに。
「一段とニンニクの香りが強まっている気がするんですよ。それに加えて…ん、やはりこれはカレーだ。腐れラーメンブロガーとか言いながらあんた、カレー食ってんだろ!ふざけんじゃないよ!枕元からカレー臭が漂ってんだよ!!」
ビデオ通話越しに何言ってんだ!!それになんだ、あんたのほうがカレー好きそうな顔してんだろうが!!
「いいから…到着時刻は12時半だ。遅れたら千住大橋への連行に切り替わります」
ますます何を言っているのかわからないまま、えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか、それを裏返した愛のような…そんなやりとりをしてまた宿酔のような頭の痛さを感じながら俺は…雨の降る中、バスにて約束の地に向かった。
デブ飯警察は小さなパトカーでやってきた。向かいのコインパーキングに止め、小さな車から大きな身体をスローモーションで出して俺に吐き捨てた。
「あんた、自分が見つけたとでも思ってるんじゃないだろうな。」
冗談じゃないだよ、オラはただの狩人だ。なっている、生えている実をとってそのひぐらしをしているだけだよ。おらがたインディアン、この土地の先住民、おれ、この土地の食べ物、守る義務、ある。
「そんなこと言いながらなぜわざわざインスタグラムとブログに投稿などするのですか」
俺の、これしかない生きている証。
かけがえのない日記だからだよ。
こ、
こ、これは!?!?!?
ようやく目の前に現れてくれたぜアナログリィィィィンカレー…とは言えパクチーはそんなに得意じゃないから少しな。
まずはJAPANのほうをパクッとやれば鳴呼…濃い…塩分ズキュゥゥゥゥンじゃん…
ただのカレーと思ったら大間違いだぜ…
そしてグリーンの方をパクッとやれば鳴呼…グリーンカレー特有の風味を甘味と塩分でガッツリ胃の中に押し込んでくるブツやばすぎだろ…語彙…
生玉子の川がせせらいだ。
ニンニクくさい川…一級河川!
サクッと完食軽く会釈して退店。
「ラー◯ン二郎よりニンニク多いじゃねえか。本来は現行犯逮捕ものですよ。」
そう言い残してパトカーで俺を亞流禍怒羅頭(あるかとらず)まで送ってくれた。
「もう悪いことすんなよ」
そう言って彼は、セカンドストリートへ消えていった、とさ。