フロムムサシノ

エクストリームラーメン専門家。ラーメンブログ史上最強の駄文による記録。

自宅ラーメン 『家富士丸 ヤサイヌキ』×2

 

 

 

 

文化の生まれるきっかけ、タイミングの数奇さというものを思い知った数ヶ月であった。

というのも、だ

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにも文化的な局面というのは、何かのビックバンが起こったタイミングのような気がしている。日本を例に取れば簡単に理解、というか、納得がいくだろう。南蛮渡来の文化が入ってきた事は革命的な事であったはずだし、武士の時代に城下が栄えたというのもある意味で風習の変化にも当たる。

学説的なコメントは必要ない、こんな無駄な文章にそんな高尚な指摘は必要ない。

 

 

 

江戸の時代には鎖国をし、南蛮渡来の文化を長崎は出島に限定していたのは、そうした文化的な起こりからの革命を防ぐ意図が感じられた。今、日本国民1億2000万人が飼い犬と化している状況であっても、何かが起こるのは飢饉の時に一揆が起こったような香りを感じざるを得ないのである。

 

 

 

 

そして、この未曾有のコロナ禍…一つの文化が生まれた。
テイクアウトラーメンである。

 

 

 

 

我々は外出の自粛を余儀なくされた。自粛というのは「自らつつしむ」という意味を孕んでいる。自ら、というところが重要であり、「自粛要請」とは何と不可解な言葉だろうか。

 


禁止と言うのならわかる。禁止した上で、生活を保証します。何なら税金を払っている民のためにお返しします、というのなら、皆間違いなくその働く手を止めたというのに。

 

 

 

 


勤勉に自粛を守る民のため、ラーメン屋も試行錯誤を凝らす。生きていくためだ。メイクマネーのためだ。だが、それだけのためではない。お客が笑顔でラーメンを食べに来てくれることを願っているからだ、と、私は思う。ま、どさくさに紛れて「外国人入店禁止」とか言ってた店があることについても、私は一生忘れないし、敷居を跨ぐ事はない。

 

 

 

 

 

ともあれだ、本題。私はいきつけのラーメン屋数カ所のテイクアウトラーメンを手に入れることが出来た。

 


そのうち一つは髭のサンタさんとモヒカンおじさんが運んできてくれた。果樹酒をつけるような瓶に大量のスープ、タッパーにはお野菜とアブラ、そして黒々と熟成した麺。
私は歓喜した。髭のサンタさんありがとう。モヒカンのおじさんいつも髭のサンタさんの相手をしてくれてありがとう。

 

 

 


北千住の方角に五体投地し、この至高の持ち帰りラーメンを堪能した。
恐ろしいことにこれは、自粛要請以前の古から伝わる秘儀、鍋富士丸なのである。

 

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こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

 

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持ち帰りでこのサイズのブタさんをぶっ込んでくるなんて信じられない…と思ったら、アブラの中にこれがまだゴロゴロと入っていたから恐ろしい。

 

 

 

 

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浅草寺のお香なんかよりも幸福効果があるぞ。

 

 

 

 

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当然ながら沸騰しきらない鍋にぶち込みゆるく煮た麺を持ち上げれば嗚呼…まさか自宅で富士丸ミストを顔面に浴びると思わなかった。天気の良い昼下がりのことであった。散歩のために外に出て、軽く脇に汗をかいてはいるものの、日光に照らされた顔面が一気に潤った。

 


ズルっとやれば嗚呼…ボキボキとまではいかないが、このごわついた麺に絡むこの香り…どう考えても自宅ではなく北区神谷で感じられるそれであった。

 

 

 

 

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幸せだ。

 

 

 

 

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家でしか堪能できないネギ(梶原は今でもある?)をぶち込み、ニンニクを添え、ラー油までぶっかければ完璧だ。

 

 

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当然富士丸といえばこの歪な麺…ふぞろいの林檎(髭とモヒカン)たちよ、感謝する。
サクッと完食お片付けして再び散歩に出掛けた。

 

 

 

 

 

食い終えた後の感じまで似ている。

 

 

 

 

「富士丸を食った後のタバコが世界で一番美味い」と言っていたあの人は

 

 

 

 

相変わらず「GWだぞ!コロナ人間キリヲ!外に出て感染者を増やしてこい」

 

 

 

 

などと妄言を吐き散らしていた事はさておき。

 

 

 

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翌日も同じブツを喰らった。

 

 

 

少し頭と心が軽くなった気がしたのである。相変わらず調子最悪だけど

味噌っ子ふっく 『坦々麺 ちゃーしゅー飯』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日に日に世の中が元通りになっている感覚がある

ただし、元通りというよりは「無理やり元に戻していく」感覚だ

 

 

 

 

 

 

 


6/1から通常通りの営業、という声も多々聞こえてきたころのことであった。テイクアウト業状態になってしまった某ラーメン屋も「今回の発表次第」と言っていたらしい。

 


どうもこれを機にまた爆発的な感染が戻りそうな気がしている。

とはいえ、やはり何か「調整されている」感覚を禁じ得なかった。

 

 

 

 

 

 

当の私も、当初はコロナウイルスを疑われた瞬間があった。
明日は我が身、という意識でいたため、微熱を観測した時点でこれはまずい、という意識を持った。結果的にその微熱は今でも時たま発生し、頭痛にはもはやなれたようなもの、という感覚になってしまった。

 


コロナウイルスではない、という暫定的な診断結果となったものの、私は今、別の流行病が発覚した。治療のために病床に臥せながらも、家でラーメンを作ることだけが気分転換となっている。

 

 

 

 

 


のも、いい加減にやめたいと思った。体調の良い日であれば散歩すれば往復10キロくらいは歩けるのだ。コロナウイルス疑惑のときも散歩だけは欠かさなかった。家に帰ってきて熱があっても気にしない、頭だけ異常に重いと思いつつもとりあえず寝てその回復を祈っていれば、とりあえずはどうにかなってきた。

 

 

 

 

ブルーカラーの皆様はこんなコロナ禍の中でも元気に働き、勤務中に食ったラーメンの写真を「キリヲ待たせたな」と言っては送りつけてくる。この生活ももう2ヶ月、続いている。

 

 

 


営業している店は営業している。ブルーカラーの人々は働かなければならない。働くためには飯を食う。一方で、自粛ラーメン警察の皆様はInstagramで「家にいろ」と働きかけ続けていた。無益な争いというのはこういうことだなぁ、と思いながら体温計を(ワキに)くわえながら見ていた。よしんば緊急事態宣言が解除されたとて、彼らはワクチンと治療法が開発されるまで自粛を続けることだろう。

 

 

 

 


くっそ遅い生活保障をする政府になぜ文句を言わないのだろうか。このコロナ禍を落ち着かせようとしているこの空気も、アホな政府の対応のやましさにしか見えない。

 

 

 

 

坂口恭平「コロナよりも自殺者が減らないほうが問題」と言い続けているが、まさしく俺もそう思っている。いのちの相談が役に立たない、という話も多々伺う。坂口恭平に電話したほうが助かる、そういう意見も聞く。

 

 

 


死にたい日に限ってそんなことを考えながら散歩をしていると、犬よりも賢くない俺は不幸にも暖簾に当たってしまう。
鬼才が注ぐ目線の先、くぐりなれた暖簾の感触を確かめた俺に待っていた運命とは。

 

 

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こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

 

 

 

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3億年ぶりに人のつくったラーメンを食うことになった。。。隣を見ればオルタナ音楽業界が誇る最強のゲーマーまで横に座っていた。

 

 

 

 

 

 

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このビジュアル…涙が出るようだ。

 

 

 

 

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ズルっとやれば嗚呼…辛味噌と迷って俺は痺れるほうを選んだ。痛む脳をしびれさせる香りと、情報量の多いスープが…力強い麺とともに口腔内を満たしてくる。

 

 

 

 

 

 

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鬼才が俺を見る。俺は何も言わずに見上げたが、どうやら俺は満面の笑顔を返していたらしい。

 

 

 

 

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この味玉を食ってしまえば、家で味玉を仕込む気力など湧かなくなるのは当然だろう。
最後はお酢プレイ旋回させてズビズバ啜った。

 

 

 

 

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サクッと完食

 

 

 

 

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ブレーキの壊れたダンプカーと化した俺は当然#完飲制倶楽部 復帰を高らかと宣言して退店。

 

 

 

 

余計に散歩して帰ろう、と思ったが、やはり精神的にまだまだ死んでいる俺はそのまま歩いて帰ることにした。

 

 

 


周りの友人達から憐れみの視線を感じ始め、なんというか、こっから先はしばらく完全な自炊がなくなった。


本当に周りの人間に恵まれたと思う。

 

 

 

 

 

自宅ラーメン 『家二郎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山菜が届いた。

良い後輩を持ったものである。

 

 

 

 

 

 

思えば、彼は私が大学院生最後の年、最年長だというのに性懲りもなくキャンパス内を彷徨き、デカい顔とデカい声(でも通らない)で我が物顔をしていた頃、一緒に幾多もの事件をくぐり抜けてきたあの年の新入生だ。

 

 

 


そんな彼が今年もたらの芽を贈ってくれた。


奴の名はみいちゅうだ。はあちゅうの親戚みたいなもんだと思ってくれたらいい。出会って1ヶ月で「実家からたらの芽が来るから天ぷらしませんか」と18歳の若者たちに誘われた。25歳のおじさんはホイホイ出向いていき、なぜか天ぷらを揚げる係を買って出た。何故だ。何故俺はキッチンを占領する癖がこの頃から抜けないのか。私は当然スターリンを口ずさみながら天ぷらを揚げた。美味いなぁ、なんて言いながら私だけビールを飲んでいた、ことにしておく。

 

 

 

 

春だなぁ。いつもと違う春だ。

 


そんな中であっても私はまた今年、そんな思い出をアレしながら重く痛む頭を持ち上げ、天ぷらを揚げた。何故料理をしているときだけ元気なのだろう、とか思いながら。またもや別部屋の住人たちに振る舞った。家二郎と同様に、結局俺の手からフライパンが離れることはなく、微熱と戦いながら衣をサクサクに仕上げていった。

 

 

 

 

 

 


しかしながらその数時間前!!運ばれてきたたらの芽は山形直送ではなかった。別の基地にまとめて郵送されていたのである。

 

 

 

 

箱の中身を持ってきたのは
マッドサイエンティスト前川コロ助。。。

 

 

 

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違う、こ、こいつは!?前川カーティス!!

 


虚な目をしたお前は俺と同類らしい

 


I've got the spirit,but lose the feeling
feeling,feeling,feeling,feeling,feeling

 

 

Joy Division "Disorder")

 


止まらない市川節に嫌気がさした俺はとりあえずまあ昼だし飯でも出してやるか、と。
などと呟いてはまた頭痛の種を増やしたのである。

 

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こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

 


飯は器で食わせろ、なんてよく言ったものだが、どうにもこう小さな丼のほうが映えるのは何故だろうか。

 

 

 

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やはり人は小高い山が好きなのだ…適度な高さの山が。おっぱいと一緒だ。異論は認めん。
ズルっとやれば嗚呼…やはり前日、前々日よりも落ち着いたスープになったな。ゴロッとしたウデ肉もこれで終わり。

 

 

 

 

 

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ついでにコロ助の方のも写真上げとこう。
サクッと完食フィニッシュムーブ軽くお片付けして終了。

 

 

 

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その後肩ロースを漬け込んでチャーシュー丼を食った。

 

 

 

 

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なんかもう自分の味にマジで飽きたな、と思って俺は散歩で遠出することにしたのである。


たらの芽、美味かった。

自宅ラーメン 『家二郎』

 

 

 

 

 

 

 

 

君との過去は精算しよう

もういいんだ。終わったことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎日毎日そんなことを考えては、答えのない問いの難しさに悶え続けてきた。

 


よく「物事を難しく考えますね」などと言われては「そうですかねえ。」などと涼しい顔をして応えるわけだが、内心ではそうはいかない。何が難しいのかよくわからない。

 

難しくしているのは貴様だ、ふざけんなコラ、どついてこます、と嘆き倒している。おかげで私の枕は布切れを通過して涙のシミが出来、クソッ!クソッ!!と叩いているうちに煎餅になる。嘘だ。叩いてはいないがShame on f uなどと吐き捨ててアレしている。先程は涙のシミが、などと書いたが、実はただのよだれかもしれない。

 


最近は太ったせいで顔が、と人によく指摘されている。が、実は歯軋りをしているかもしれないと思うのは、朝起きた時の顔の疲れからだ。明らかに顔の筋肉が発達してきている。顔も疲れているし、下膨れとか言われて「パタリロみたいで可愛いじゃん」なんていう切り替えしすらも出来なくなってきた。何が下膨れじゃどあほうがコラァ、たこ、罰として俺の部屋に飾る花を買う際に「病気の彼女を勇気付けたくて」と店員さんに言って良い人ぶる刑に処す、と宣いたいところである。

 

 


歯軋りって歯科・口腔外科でしょうか。

 


それより僕が歯軋りしているか、誰か確かめるために僕の横で寝てみませんか。

 

 

 

 


すっきりする夢を見てみたいんです。何もかも忘れてしまいたいのです。冷笑主義のあなたのことも忘れてしまいたいのです。その代わりにあなたは私の醜さを忘れることがありませんように、とか言ってみたい人生でした。

 

 

 

そんな私は矢張り過去を清算できない、業の深い人生を送っているとしか思えないのは、どうしたってあの「山」が忘れられないのです。

 

 

 


「ヤサイ要らないよね」とか言いつつも、インスタ映えするようなブツを食いたいと思わざるを得ないのです。

 


でももやし余しちゃったらどうしよう。そもそもキャベツなんかまたお前、お好み焼きするわけでもないからアレだよな。

 

 

 

 

 


そう思って我が家の別部屋に住む人間2人をアテンドした。奴らは二つ返事でノコノコやってきて「コロナ野郎、まず消毒剤かけろ」とか言ってきたのである。

 


久々に言っとくけど、マジで今回も自画自賛の嵐である。

 

 

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こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

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もとアフロ野郎にいつものテーブルを占領されてせいで最初からデスクスタートだが…

 

 

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見てくれこの美しいウデ肉を。そしてスープの油脂分を。
最早慣れたものだ。家庭サイズ家二郎選手権があったら参加したいレベルのスープまで仕上がったぜ。

 

 

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ズルッとやれば嗚呼…この麺には飽きたが、このスープを俺は待ち望んでいた。前日に食った時よりもこなれた感が出てきた。

 

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そして見てくれこの油脂が抜けまくったアブラ!!俺これが食いたかったんだな…

 

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ニンニクも刻んだが、矢張りこの桃屋のニンニクはヤサイと豚を食うのに最適だ。しょっぱいからな。

 

 

 

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サクッと完食フィッシュムーブお片付けして終了。

 

 

欠食青年二人も大満足でその後も部屋に居座った。
片方は「家に帰ってきてラーメンがある幸せって素敵」とか言っていた。

 

 

 


我思う 故に専業主夫になりたい。

自宅ラーメン 『家二郎ヤサイヌキ』

 

 

 

 

 

 

 

 

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。

焦燥と言おうか嫌悪と言おうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酒を飲んだあとに宿酔があるように、私は午前から夕刻に差し掛かる頃まで宿酔に相当した時期がやって来る。私は重力に屈服し、お布団に服従する。これはちょっといけなかった。結果した神経衰弱、自律神経の失調が物語る。

 

 


これがいけないのではない、といったことはない。大体においていけないのである。どこにも行けない、というレトリックだ。電車に乗るのが怖い。特に私の目の前を走る黄色いやつとオレンジ色のやつ。青いやつと、紫のラインが入ったやつはなんとなく大丈夫な気がしている。もう、ガラガラではあるものの、あんだけ車内をビュンビュンに風が吹き、通勤時間になれば人が増えるところには降り立ちたくないと思う。

 

 

そういうわけだ。

 


以前私を喜ばせていた音楽の力を借りて、私は書を捨てスマートフォンを手に構えて街へ出ることに…は、しなかった。街を見れば人、人、人であり、私はどうしたって西側、南側にしか足が向かなくなった。

 


私は太宰が入水した場所に毎日向かっている。特に意味はなく、ただたんに桜が綺麗だワンとか、これから紫陽花の季節だニャン、とか言いながら風流ぶった想いを胸に抱いている。ロマンチストなのだよ、私は。乙女座の私はセンチメンタリズムな運命を運命を感じずにはいられない。鏡の前で5分ほどそんなことを呟いてから、散歩に出かけることにした。

 

 

 


いつもと違って私は駅のビルヂングに足を踏み入れた。とは言え、そのテナントのうち半分は帳を閉じている。本屋を彷徨き檸檬を据え付けることすら叶わない。なんという有り様か、この禍々しい世の中は。そうして私は鮮魚が並ぶ角に立ち、ため息をついた。息は行き場もなく、マスクに遮られて口腔内を彷徨う。肺を満たしては私に空虚を感じさせることになるのである。

 

 

 

赤く光るブツが私に語りかけたのはその時であった。
脳を過るのは確かに声として認識される情報であった。

 

アテンションプリーズ、プリーズテイクミーアウト。」

 

彼の国の言葉で語りかけたのは、ブラジル生まれの名もなき豚であった。たぶん、ブラジルあたりだ。

 

 


どうしたってシンパシーを感じざるを得ない。私は奴に「悪魔」という名前を授けることにした。

 

 


私はその近くにいた男に聞いた。「この者の背脂と腕肉はありませんか」と。
男曰く「あなたがこの封印されしエグゾディアを完成させるには遠く時間がかかる。まずはこの者の背脂と腕肉を明日の朝、受け取りに来るのです。」と。

 

 

 


そして私はうちのアパートの住人にハンマーを借りた。猟奇的な想いを胸に抱きながら、翌朝私は駅ビルにて背脂1キロと腕肉1キロを回収した。

 

 

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悪魔退治には仲間の協力が必要だ。ハンマーを与えし元アフロの男に話をつけに行くと「とりあえず明日でいいわ」なんて言いやがるのである。

 

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再びため息をついた私。もういい、一人で戦う。

 

 

 

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その吐息にはニンニクの香りが乗り、歯ブラシを咥えたまま中央線を眺めることになったのである。
走り出せ。

 

 

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こ、こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

 

 

 

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2020家二郎プロトタイプ…私はそのスープの出来具合にガッツポーズを余儀なくされた。

 

 

 

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こんなスープにもやしをのせるなんて、俺にはできないよ。そう呟きながら俺はネギを刻んだ。

 

 

 

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ズルッとやれば嗚呼…美味い、美味いけど何かが足りない。矢張りエグゾディアの完成はまだ先だ。俺はシンクロ召喚をキメてスターダストラーメンを召喚したのであった。
嗚呼腕肉よ、、、どうしてあなたはそんなに縮んでしまうのか。美味しいのに。

 

 

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私は庭で育てた豚から肩ロース肉を採取し、追加で煮込むことにしたのであった。
サクッと完食フィニッシュムーブお片付けしてお昼寝!

 

 

 

元アフロ野郎から「明日の夜ならいける」とか言われたので、同じ建物内に住む小娘にも声をかけておいた。

 

 


私は忖度なく美味いまずいを言う連中を相手にしなければならないとは…などと呟きながら、人が消えることのない井の頭公園を下って行った。

自宅ラーメン 『塩ラーメン』×2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく毎食毎食レビューを書けるよな、と思う。

今となっては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうも家に閉じこもってばかりでは何も考えられなくなる。インスピレーションの源流があの、ラーメン屋に足を運ぶドキドキであったり、人と会って話したりすることが大事だということを思い知らされた。

 

 


よくもあんなにくだらない文章を毎回毎回、書いていたものだ。 私は意識の高いラーメンレビューをすることを心がけることにした。今日から俺は生まれ変わる。そう決意した。

 

 

 

とはいえ、矢鱈と蘊蓄のようなものを盛り込むのもいかがなものか。私はこのことについて、二つの懸念がある。

 

 


一つは、どうもその話し口が偉そうになってしまうことである。

 


どうも我々ラヲタ(否定したところで「ラヲタ」やら「ジロリアン」と言われることは避けられない)は、ラーメンハゲに言われせば「情報を食っている」わけであり、新店がオープンしましたとなればやれ「〜の店出身で〜」だとか「まだ味が安定していない印象」などと語りがちだ。その上、「私が育てました」と語るレベルにのぼせ上がり、「今日はよくカニを潰すことができました!」といったことをTwitterでドヤ顔で書いたりする。

 


書く側の人間になればそれは自分でそのラーメンを作ったようなカタルシスを感じられる行為となり、自己承認欲求を満たすことができる。それに対して「何を上から目線に」と言ったような印象を抱かせるわけである。
どうでもいいことだが、「上から目線」を多用する者は自分自身の目線がすでに上からになっている証拠である。ので、ラヲタ同士の意地の張り合いというのは果てしない戦いのようなものである。

 

 


しかし、いつからみんな「上から」とか言い始めたのだろうか。秋元康は矢張りなんらかの責任を取ってほしい。

 

 

 

そしてもう一つは…ラーメン自警団出動の危険性である。


時は2020年!コロナ禍の最中、我々は外出自粛を強いられ、肉体的な健康害を避ける傍らで精神が蝕まれていることに気づき始めた。
その精神的な健康害が現れることを懸念し、暗躍する人々を見張り始めているのが自粛警察と言われる自警団…いわゆる街のチンピラ共だ。

 


自分のやっていることこそ正しいと考える者、もしくは他人が幸せでいることを許せない者が、他者の行動を阻害し、今日もインターネット上を賑わせる。

 

 


それが…実は「ラーメン蘊蓄の整合性」を見張る人たちにもいるのである。
そしてその中でも「それが果たして本当に正しいのか」という哲学的な問いかけを以ってして指摘を行う善意ある市民と、「お前間違ってやがんのバーカ」という悪意あるマウントの2パターンがある。

 


それに加えてもう1パターン…人のコメント欄で急に語り始める人も存在する。私はこのタイプが苦手だ。これを読んで「じゃあやめれば」とか言ってくる人がいる可能性もある。そういう人は即ブロであるのでアレするように。

 

 

 

 

そんなわけだ。日々と生活が散歩のみになりつつある頃、私は道に落ちていたコロナ禍の被害者の骨を拾ってしまった。

 

 

 


その者の名は、名前もない豚であった。
この続きは…次回だ。

 

 

 

 

 

 

 


家に帰り、自宅の冷凍庫を片付けにかかった俺は不幸にも「超よく作れたバラチャーシュー」に衝突してしまう。

 

 

 

 

 

 

 


早く家二郎がしてえと思う俺に対し、そのバラチャーが言い渡した示談の条件とは

 

 

 

 

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こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

 

 

 

 

 

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どれどれ、じゃあまず塩ダレと魚粉を片付けてしまうか。見た目北大塚ラーメン、味は濃いめの塩ラーメン。

 

 

 

 

 

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深くは語らないが、俺の気分はカート・コバーンだった。ようはパクリもパクリまくればパクリにならず、幾つものパクリを組み合わせれば新しいものが作れるようになるというものである。あとは俺の内から湧き出るエネルギーが料理をしてくれる。

 

 

 

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ズルっとやれば嗚呼…まあ普通だな。この味も本当に食い飽きた頃だ。

 

 

 

 

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ちなみに翌日はほうれん草のカレーを挟み、似たようなものを作った。

 


俺の在庫一掃処分セール終了!

 

 

 

 

 

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サクッと完食フィニッシュムーブお片付けして就寝。

 

 

 

 

 

冷蔵庫に入れた骨たちが赤い光を放ち始めた頃。
俺はまだその時ではないと感じた。

 

 

 

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煮込め…煮込め…骨がそう囁けど

 

俺の冷蔵庫は
まだ「役者が揃っていない」状態だったのである。

 

 

 



自宅ラーメン 『塩ラーメン』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電子レンジ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文明の利器を、我々はどこか下に見ているところがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

電磁波を生み、水分の振動が熱を生み出す。
水分が気化し、その熱によって対象を温める。

 

 

 

 


なんでもかんでもレンジでチンすれば、というのは人間心理においては「便利すぎるなぁ」という思いを生み出した。

 

 


飯屋の奥でチン、という音が鳴ればそれだけでがっかりする想いを抱いていた。

 


玄関開けたら2分でご飯。そんな流行語も、もはや30年近く前のものだ。

 

 


私は、そんな言葉を今までずっと信じてきた。

電子レンジと言えばギャング・オブ・フォーのジョン・キングがステージ上でぶっ壊していたものだし、どれだけ某ラーメン屋のコンビニ麺が優れていようとも俺はそれでうまくやれるものではないと思っていた。

 

 

 

 

 

 

でも、その便利さが革命を起こすことがある。
朝起きて、自分の身体の重さに驚きを隠せず。空腹感から、調理すらも面倒くさくなる。


頭が熱い。首から上を切り落としたい気分になったものだ。
俺は、以前残しておいたバラチャーシューをラップでくるみ、電子レンジにぶっ込んだ。

 

 

 

 

 


1分半後、出てきた宝石を見た俺。

頭痛が飛んだのである。

 

 

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こ、
こ、これは!?!?!?

 

 

 

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照りが…照りが凄い…もともとはこんなブツじゃなかったはずだ。


ベースとなるのは塩ラーメン。豚バラ軟骨、手羽ガラでとったスープは十分すぎる濃度を抱いてくれた。

 

 

 

 

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ズルっとやれば嗚呼…うめえ。いい感じだ。

 

 

 

 

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最高の主食となった。俺は豚をおかずにこの麺を啜った。

 

 

 

 

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またこの手法を取りたい…自宅で食うならバラが一番かな。

 


サクッと完食フィニッシュムーブ軽くお片付けして退…ベッドに倒れ込んだ。

 

 

 

 

肉の扱い方を覚えればそれ、やはりスープと麺に想いを馳せるもの。
俺は骨を買う勇気が湧いてきた。

 

 

 

 


まったく、何を目指してるんだろうな。