電子レンジ
文明の利器を、我々はどこか下に見ているところがあった。
電磁波を生み、水分の振動が熱を生み出す。
水分が気化し、その熱によって対象を温める。
なんでもかんでもレンジでチンすれば、というのは人間心理においては「便利すぎるなぁ」という思いを生み出した。
飯屋の奥でチン、という音が鳴ればそれだけでがっかりする想いを抱いていた。
玄関開けたら2分でご飯。そんな流行語も、もはや30年近く前のものだ。
私は、そんな言葉を今までずっと信じてきた。
電子レンジと言えばギャング・オブ・フォーのジョン・キングがステージ上でぶっ壊していたものだし、どれだけ某ラーメン屋のコンビニ麺が優れていようとも俺はそれでうまくやれるものではないと思っていた。
でも、その便利さが革命を起こすことがある。
朝起きて、自分の身体の重さに驚きを隠せず。空腹感から、調理すらも面倒くさくなる。
頭が熱い。首から上を切り落としたい気分になったものだ。
俺は、以前残しておいたバラチャーシューをラップでくるみ、電子レンジにぶっ込んだ。
1分半後、出てきた宝石を見た俺。
頭痛が飛んだのである。
こ、
こ、これは!?!?!?
照りが…照りが凄い…もともとはこんなブツじゃなかったはずだ。
ベースとなるのは塩ラーメン。豚バラ軟骨、手羽ガラでとったスープは十分すぎる濃度を抱いてくれた。
ズルっとやれば嗚呼…うめえ。いい感じだ。
最高の主食となった。俺は豚をおかずにこの麺を啜った。
またこの手法を取りたい…自宅で食うならバラが一番かな。
サクッと完食フィニッシュムーブ軽くお片付けして退…ベッドに倒れ込んだ。
肉の扱い方を覚えればそれ、やはりスープと麺に想いを馳せるもの。
俺は骨を買う勇気が湧いてきた。
まったく、何を目指してるんだろうな。