自家製中華そば としおか 『新塩ラーメン中盛り メンマ小チャーシュー小』
秋晴れの広がる空を見上げてみれば、思い出すことは様々ある。
生きていればそれだけ積み重ねているのだということに気づくような空だった。
朝起きて所要を済ませる。余計なことをしなければいけない状況に追い込まれているのはなんとなく腑に落ちない。こんなにも面倒くさいのか。どうしてこうも心を折ってくるようなことがたくさん目の前に現れるのは、足にかなりの重さの枷をつけるようなものじゃないかと感じる。
早稲田での待ち合わせは13時前だった。この時間であれば全てを楽に済ませることができる。その上で俺は、一縷の望みをかけて前日に色々と整理をしておいた。朝から活動し、9時過ぎに帰宅して自転車を置き、俺は新たな相棒を迎える気持ちでヨドバシカメラへ向かった。
どうも「新機種」というものに興奮を覚えるのは、多くのロボットアニメに「後半クールに必ず新型ロボットに乗り換える」みたいなことが起こる興奮があるから。明らかに強いロボットへの進歩を遂げ、激しい戦いへの一歩を踏み出す主人公たちの姿に気持ちを昂らせてきた俺だからこそ、今回の機種変更には心を震わせていった。
現実として俺は「新しいコンデジを買った」ような気持ちになっている。いい買い物をした。月額分割、今までと変わらないし。
早稲田に着いてみると、俺のコメント欄に「ラーメン食いたい」とか「腹減った」とか書き続けてくるアホが待っていた。下手すりゃ2年ぶりに会うアーセナルファンだ。俺は「オタクらんとこ相当やばいですね」なんて言ってみたものの、「そっちこそヴィラに7点とかおかしいでしょ」と皮肉で返された。油断しているとお前らも足を掬われるぞ、と苦し紛れに返したものの、結局0-2で負けてるところを見ると少し安心した以上に5点のビハインドが本当に悔しいなと思わされた。
そんな話で盛り上がろうとしていたら、仕事サボリーマンを極めている大阪人が俺たちの前に並んでいた。
俺はここに物語を認めるしかない気持ちを抱きしめた。
空の青さと雲を言語化するのが物書きの仕事であれば、私はスープの濃さと麺の美しさを語るしかないのだと。
こ…
こ、これは!?!?!?
店を出た後に俺はこのとてつもない光を放つブツに、秋晴れの空すらもが暗くなるような気持ちを抱いた。
崇高かつ高貴な姿を撮るには、それなりのたれんとがひつようだったのだ。
久々の新塩ラーメンに心躍る。
ズルッとやれば嗚呼…濃いめコールを忘れたことなどどうでも良くなる程の美味さ。重厚なボディを感じさせるスープに香る魚介のアロマ。やはり最高の贅沢とはこの店の一杯のためにある言葉だ。
柔らかなメンマと最高の麺のツープラトンはダブルインパクトばりの破壊力。
ニンニクぶち込めばもはや最高のお汁。
AJTMAZMSくぱぁすれば…100点満点の出来だ。
最高のひととき。
隣の人はいつも動画撮ってんのに今回は控えてた。
サクッと完食当然#完飲制倶楽部 ゴクゴクブチカマしフィニッシュムーブ深々と会釈して退店。
もう秋晴れがどうとか関係のないほどの興奮を抱えたまま早稲田駅まで歩いた。
梅里のジョナサンで作業して夜は恐縮男の誕生会@やきとん瑞貴。
もう絶対に始発帰りはしないと決めた。