目元が遠くなるのが老いだというのなら
すっかり老いてしまったということになるのだろうか
手元が見えなくなったわけではないんだ。自分の爪のガタガタ具合も指毛の濃さもわかるわけだ。写真に俺の指毛が入り込むことをいちいち突っ込んでくる大阪の女(高校の同級生)の面倒臭さについて1時間くらい語りたいんだがそれはさておきだ。
生活の質が変わり、置かれた状況が厳しくなったのをいいことに俺は自転車に跨る頻度が増えた。割といい距離を漕ぐようになり、運動する時間が増えたような気になっている。
その証拠にだ…履けなかったパンツが履けるようになった。パンツと言ってもジーンズとかスラックスとかではない。フツーにボクサーパンツのことである。ここ数年きつくて履けなくなっていたブツをだ。洗濯物が乾いていないのをいいことにチャレンジをしてみたら、スッとケツにハマったのは感動ものであった。ケツにハマったと言ってもそういう意味ではない。
多少手元が見えなくなってもいいかなと思ったが、実際のところ手元が見えなくなってもいないし、むしろ近眼が進んだような気もしているから不思議だ。
トラウマやコンプレックスがない人間が、自己肯定感について疑問を持たぬ者が、芸術や音楽に興味を抱くことなんかそう多いもんか。みんな何かしらの劣等感を抱いているし、それでいて傷ついてきた人ばかりだ。本当に生まれついて感受性の優れた人、そういった訓練をされた人、逃げ道を求めて外に世界を感じ始めた人だけに許された楽しみだ。
なんてまあそんなことを断定するのはつまんないことだし、きっかけなんて些細なものだから。食指を伸ばすものがそこにあっただけのことだから。
だからこそ手元が見えなくなるいうのはチャンスを逃す可能性もあるわけだし。何よりも俺は店のBGMってのがかなり重要になってくるなと思っている。そういうところにまで気がつくってのは、楽しい。
だから。奥田民生の流れるカレー屋は最高だ。
こ、
こ、これは!?!?!?
あいがけの魅力なんてもんも指を咥えて見ていたわけだが…指からカレーの味がし始めたからチャリ漕いでサクッと行ってしまったわけだ。
目の前にしてみればご、ごっついのぅ〜とか言いながらニンニクコールで両側にしっかり乗ってくるのを見てニンマリ。
見ろ…最高だ。
まずはJAPANのほうをパクッとやれば鳴呼…最高だ。写真すら撮るのも面倒になる程がっついて食らいたい。
辛い方もいいぞ!馬鹿みたいに辛いわけじゃないからこそ食いやすいが、全体としての破壊力は当然抜群だ。
どうかカレーの神様、カレーライスの女様…ラーメンから浮気としてやって来たお許しください。
堪能した。
サクッと完食軽く会釈して退店。
ラーメン臭い男からカレー臭い男への進化を遂げようとしている。
手元が見えなくなったとか言ったが…やっぱこんなに香ればわかるわな。
デブ飯警察の足音が近づいてきた。