人生において「あっ」という瞬間が何度くるかわからないなどいうのも何度目か。
またもや八王子まで、公共交通機関を使わずにツアーした。食うたびにいつも思っていたのだが、なんというかラーメンとは麺を食う行為そのものであり、野菜を食うためにあるものではないと常々感じていたの。私はとうとう、とうとう気づいたの。
「わよ」とか「よ」という日本語における女性特有の接尾語が薄れていた今、残された「の」を意識して俺は聞き入れていきたい気がしている。フェミニストの皆さん、僕はそういうつもりは一切ないので叩くのだけはやめてください…
とにかく、私は気づいたのだ。
ヤサイのない二郎とはなんと儚いものだろうか。
翌日のお通じすら心配になるほどである。ボキッと硬い麺をとりあえず600と申請して何グラムくるかをいつもビクビクしながら朝からコンディションを整えんと、仕事もそこそこに昼飯はいつものすき家でネギ玉牛丼おおも、いや、並!と声高らかに宣言しては、夕方になってハラヘッタハラヘッタと騒ぎ散らして生きているのが大抵の流れである。
そのむかし!富士丸を夜中0時に富士丸ラーメンを喰らい!!11時に野猿で大ラーメンヤサイマシを食って撃沈し隣に座った我が老師に麺パスした悪い記憶が!!
そのむかし!なみのり麺増しヤサイスクナメコールをして全くヤサイ少なめじゃなかったあの頃の記憶が!!
俺のチキンハートをホークソウルに鍛え上げることを拒んでいるのである。
だからこそ
髑髏麺増しこそはヤサイを抜いてネギをぶっかけて食うのがジャスティスだと信じていた。
麺増しコールした瞬間に固まる助手さん。あれ、本当に怖かったな…めっちゃ客多いのに麺増しとかしてすみませんでした。
しかしながらそんなビクビクと怯えた心が、俺に恐怖を感じさせていた要因が、目の前に現れた時にはあれ?となったわけである。俺は100円玉と、計算ができないせいで財布に溜まった小銭を募金箱にぶち込んで着席した。
ご覧いただこう。
これが
い、いや…
こ、これは!?!?!?
どよめきを隠しきらない声が聞こえてきたりもしたが、麺量はいたって600か700くらいか。
…ヤサイないと見た目が寂しい…
これくらいならいけると確信して食い始めたが
アアッ!!
なんかやっぱヤサイなしで混ぜてみるとこの、アブラでテカりきった麺…クソ旨そうやないか!
ズルっとやれば神が降りた…野猿のこのカエシの味…ほんとに気が狂ってるよ…
ネギを絡ませればもう完全に俺は場所を間違えて錯乱し始めた。
幻覚のように青く映る丼の淵に「ネギラーメン」と書いてあるように読めてしまう病気にかかり始めてから俺はどうやら完全に気が狂ってしまったらしい。
豚はパサっていたが亀戸ライクな、というか亀戸が関内よりも野猿に近い気がするが。あれはあれでオリジナリティというべきか。
となりに座った女性は「我々の知る中で最も速い吸い上げ」と称し、片平恒夫巡査ばりにこう言った。
「最初はゆっくり写真を撮っていたんですよ。こいつまたこれ始めやがったなって。何枚取るんだよ、店の人に怒られんだろ、とかね。思ってたんですよ。え?で実際時間かかったんですか?って?
いやいや、やはりアナタ達はワカってない。彼のイキりっぷりを。」
「彼にラーメン二郎を教えてもらってこう言うのも何ですけど」
「丼と顔面の距離10センチ以内のほぼ犬食いでさらにあのスピード、ヤッパリ引きますよね。女として。」
俺は気づいた。ヤサイが無いとさすがに物足りねえ。
あまりのスピード、写真から換算すれば7分程度でほぼ食ってしまったことを後悔しつつ残った麺を後生大事にBPぶっかけ完食
横から豚パスを受けてそれもサクッと
完食フィニッシュムーブ軽く会釈して退店!
ヤサイがない野猿の温かいやつ…ここまでサクッと食えてしまうものか…
色々後悔した。
とかいいつつこの後はなみのりシーズン。
野猿の水で締めた麺は…怖ええ…