この夏、初めての経験をした。
32歳の夏であった。
とか書いてみれば物語風、ストーリーテリングなテイストの文章として幕を開けることになる。一夏に起こった事件とそれにまつわる淡い思い出。このくすぐったい、背中のちょっと上あたりで繰り広げられる恋の行方は…そして車の主 谷岡が言い渡した示談の条件とは…
ところで読んでいて面白いでしょうか。まだこれからですよね。
というわけだ。近頃の私といえば「エクストリームラーメン」とはいかなるものだろうか。そればかりを考えていることに発端はある。要は私が好きなラーメンをエクストリームラーメンと言っているわけだが、「例えばそれは」などと問われたところで「たぶんそれは透明少女」と答えるしかない2019年夏の俺がいることも間違いない。
杉大門通りから強烈な香りが消えた今となっては、「この数ヶ月、何をしていたのだ」と自問自答している自分がいることも違いない。
どうでもいいことだが、私はiPhoneを手放した瞬間に記憶装置を失うのかもしれない。
要はしょっぱくて美味くて量の多いラーメンのことを言うのである。エクストリームラーメンとは。それだけのことをなぜ大げさに言いたいのか。
伝えたいのである。美味いと思っているこの感情を。
そんなわけで人にひとしきり語る機会を経て私は何故か青山から六本木まで歩いていた。人通りの少ない、いかにも閑静でミニマムサイズな都市社会を練り歩いてみれば、それがどこであれ焼き魚と風呂の匂いは消えることなく存在しているし、小洒落たバーの木曜夜は基本的に静かなものだった。
何か違うことといえば、六本木に入った途端サイバーダンサージャパンみたいなお姉ちゃんぼっちゃまアンドお嬢ちゃんがきゃあきゃあ言いながら練り歩いており。
ここは私の居場所「ではない」な、渋谷くらいがちょうどいいなと私は思ったのである。
こ、これは!?!?!?
忘れられない出会いをしてから3ヶ月。というか、存在を知ってからおそらく3年くらい経っているのに私はまあ「遠いから」などという理由で行かない愚かしさをいい加減改めたほうがいいと感じる。
なんて美味そうなんだ。俺はこのアブラのテカりこそが「恍惚」と表現されてしかるべきと考える。
ズルっとやってみれば嗚呼…ゴリっと硬い西山の麺、最高じゃん…とか言う前にもう完全に醤油感()にレイプされっぱなしだ。服従するしかない。その昔、私はお醤油が入りすぎたラーメンを食べて喜んでいたが、その時の感情が!感情がまた復活してきた太゛郎!!
チャーシューは前回食べた時よりも脂身や柔らかい筋の部分が多くて食べやすい印象。
ニンニクぶち込んで喰らえば最早叶うものなしだ!
俺やっぱこのオールドスクールな札幌醤油感好きだなー、一気に楓の醤油が食いたくなった。
サクッと完食当然 #完飲制倶楽部 ブチカマしお会計軽く会釈して退店。
夜の冷たさによって、かいた汗が体温を奪う心地よさを感じた。
佐藤伸治の声が聴こえてくる中、俺はvideotapemusicで南国を感じているのだ。
初体験の帰り道の話であった。