愛した薔薇はひとつだけ
いい言葉だなと思った。
それを言ったのがドワーフみたいな身長170cm120kgの男でなければ。
栃木で塵芥処理を行っている男が東京まで遊びに来ると聞けば、だいたい土曜の予定は固まったようなものだ。幸い都内の桜はまだ先頃ではないし。俺は春を愛する男であり、願わくばこの杉の花粉のクソが無ければ春は最高、暖かいし酒は美味い。ちなみにこれは塵芥処理の男と合流する前の話だ。
これであとは彼女さえ出来れば、というところではあるが。そこまで求めてしまうと私の人生のバランスも崩れる気がしている。…そんなことは全くと言っていいほどどうでもいいのだが。
愛した薔薇はひとつだけ…そんな人生を送ることができればどれだけいいことか。私は成増に行くつもりだったが、クソ野郎が前日にとしおかの画像を送りつけまくってくることが無ければ私は東西線に乗ることはなかっただろう。
というわけで、11時過ぎに接続すれば20ちょい。私はまあ成増まで行くことを考えればこんなもので済めばいいと思っていたので万事解決。当然買っておいた刃牙道は15分で2巻読み終えた。
1時間近くの待ち時間の間に私の頭はぶっ壊れたようである。
入店し「同時で大丈夫?」と聞かれてオールオッケーを宣言。霞たなびく春の季節に私はすっかり恋をしていたのである。
こ、こ、
これは!?!?!?
久々に「ジュッ」とやられた生姜に恋を超えて愛を感じた。愛した薔薇はひとつだけ。その言葉を胸に…秘めることなどなかった。
膜張りメッセ!!膜張メッセ!!
俺はその膜にレンゲをぶっ刺しスープをズズッとやればああっ、、、美味えっ!!完璧だ!!美味すぎる…今日のお汁完璧なブツ!!
麺引っ張り出してズルッとすればもう無敵と書いてXと読む。
生姜を添えて食えばもう、何も敵うものはない…
辛味を添えて食えば芳醇な香りと辛さを味わいつつ俺はそのステキな塩ラーメンを超越するブツを食える幸せを…噛み締めていた。
こんな幸せがあるのだろうか…その先にまた、俺は「愛した薔薇はひとつだけ」の言葉を裏切ることになったのである。
春を愛する男
あれは矢張り春の霞だったのだ。
そう思うことにしていた。煙に包まれた風景は遠い昔のように感じられた。
だが、私はどうやら夢を見ていたようである。気分を呼び覚ましてみれば、「同時でいいの?」と聞かれたあの瞬間に戻ることができた。口に残る塩ラーメンの香りを思い出しながらも、ツルッとしつつ小麦香るあのブツを、甘みの襲うあの汁丼を夢見ていた。
目が覚めた。
俺は塩ラーメンを食っていたのである。
正気に戻った俺はその美味さに酔いしれながら黒塗りの高級車に追突してしまう。
車の主 谷岡が言い渡した示談の条件とは…
店内連食であった。
こ、
こ、、、
これは!?!?!?!?!?
自分で頼んでおいてアレだが…
店内連食最高じゃん!!!!!!!!!!!!
し、しかもなんかラー油AZMS!!感無量だわ…
矢張りつけ汁に漬けないで食うこの水でしめた麺は最高だ…最高だ!!
そしてつけ汁にしっかり浸かったチャーシューとメンマ…こんなに美味いものはない!甘え…甘すぎるのに下品にならないこの汁マジで最高すぎる!!
ぶっちゃけこれ喰いながらほぼ喰い終えた塩の丼の汁吸うのマジで美味すぎるんだけど…塩をスープにつけ汁の甘味を味わえるの最高すぎね?こんなんあり??マジでやばいんすけど。これ許してもらえるの本当に俺夢だったんだ…
とか言いながら麺にメンマとチャーシュー絡めて喰えば完璧だ!!どうしようもねえな。。。
麺喰い終えてつけ汁堪能しつつ塩汁に浸かったチャーシュー食ってマジでデンジャラス…
こんなアチアチな組み合わせねえわ。
トータル15分で両丼KKブチカマしフィニッシュムーブ深々と会釈して退店!!
我々のようなウィークデイワーカーの人間には矢張りこの選択肢しかない。
こんなに堪能できるとは思わなかった
そう言われた俺は耳元で「いつか二人で行きたいね 雪が積もる頃に」とか170cm120kgの男に歌われた瞬間、
私は中野の中華一番館であの「アルコールの味がしないチューハイ100円」でベロベロに酔った気分もぶち壊されていった。
バカだなとか思いつつも最高の週末だ、と俺は右手を握った。