電波の受信が脳に情報を伝達するよりも早く、噂が音波と化して伝播することも多い。
良いことも悪いこともだ。
悪いことばっか伝わって良いことが霞むというのは、人間社会の本質なんだろうと思う。ネガキャンを信じるか信じないかはその対象における事前情報がどれくらい入っているかによって耐性が変わる。「Aは良い人だ」「Aは信頼たる」という情報に対し「Aは悪い」「Aは信頼するに足らない」という情報が立ち、これの足し算引き算がとりあえず成立する。
だが一番重要なのはAを取り巻く環境であり、「Aはお金を貸してくれたから良い人だ」と「Aは高利を要求してきたことがあるから悪人だ」という付加情報があれば話は変わってくる。その情報を受け取るBさんが、金の貸し借りに対する価値観をまたどのように形成してきたかが鍵になってくる。
情報の受け皿である我々は、複雑な過程を経てここに立っている。
味覚に関しても同様だ。電気生理的に伝えられる情報によって形成された自我が感じ取る旨味が、単純なものではつまらないというのが私の感想である。
そういう意味で矢張り、前日のがんこは非常につまらないものだった。カニに全て負け、その他のパンチを失っていたとしか言いようがない。早い時間のがんこが少し怖くなったのが正直なところだ。
では、翌日のものはどうか。
沖蜆何キロと真鯛の頭・シマアジのアラと聞いて全然前例が頭に思い浮かばなかった。どうも私は魚関係とは縁遠かった感じがある。貝類とカニは鉄板なのでやはりそこを狙ってスペシャル乞食をしていた感じは否めない。
9時到着で30人以上。前日の家元の檄文が効いたんだろう。漂う香りは非常に複雑で、なんとも言えない恍惚感を引き出させてくれたのだった。
久々に頂いた煮物AZMS!ごま油効いてサイコーな昆布のブツ…たまらんかった!
こ、これは!?!?!?
なんとも濃い色のスープに当たったものだ…色々な思いを反芻してみればウム!!もうよくわからないくらいに美味い!!貝も魚も感じられるが、豚・鶏由来っぽい油ががっつり効いていて俺の好みのブツ。
麺すすればそこまでサイパンではなかったがまあブレの範疇。
クッソ美味えな…塩分も甘みもいい感じで思わず声を上げてしまったが、これでも家元曰く「途中で調整して良くなった」とのことだった。ブログで甘すぎたと書いていたが、今年に入ってからのスペシャルはほぼ全部甘いイメージがあったので、こればかりはなんとも言えない気持ちになった。
そんなこと言ってられないのが今回のスープだ。カエシをちょっと足せばもう十分にビンビンくるブツ。ツケダマお椀のカエシつけ麺プレイ必要なし。
そして悪魔肉…今回はメンマまで完璧な味わいだった。
大満足で大堪能の当然KKブチカマしフィニッシュムーブ深々と会釈して退店!!
前情報も前日のスカしも俺の味覚にはなんの影響もなく、俺の胃袋からの香りすら楽しむことができた。
帰り道、とんでもない余韻に包まれながら歩いていたが
初めて連れて行ったヤツ二人は「濃い味嫌い」と「いい経験だった」とか。
やっぱ難しいなラーメンは。
レンゲが刺さりカエシが並々ぶち込まれたコップを女将からもらう常連さん見て震えた。
まだまだ先は長い。深い。言葉に、ならない、くらい。
次はがんこ通算100杯目