春季性のアレに加えて、アレに追われることにより
俺のアレは更に加速の一途を辿っている。
マジでやばすぎる。こんなことになると思っていなかった。
頭の中に浮かび上がってくる文字は全て「面倒くせえ」に変換され、何もかもが「やってらんね」に変わった今、何をしようにもダルいという言葉でまとめられてしまう負のスパイラルに陥ることになる。
なんというかマジで「ただの怠惰」で片付けられる状況なのに、「ただのたいだ」って何回「た」使っとんねんという意味のわからないツッコミすら頭の中に思い浮かび上がるのはどうしようもない。
大学の後輩に非常に面白い名前のやつがいた。
全て母音に変換すると「あああえ ああああ」という名前だった。彼は英語表記で名前を書くときに「a」を7回も書くことになる。人の名前を笑うとは何事だ、と怒られそうだが、お父さんお母さんもそんなことを気にせずに素敵な名前に仕上げてくれたと思うと、奴の満面の笑みを思い出しながら空に向かって親指を立てて許してもらうしかないと諦めている。
そんなことを考えながら、俺は三鷹にて最後の審判を済ませ、春の風が吹き荒れる武蔵境を走り抜けた。
どうもこの春は雨もよく降る。桜の花もすっかりと雨によって落とされ、力強い新緑が、新たな季節の始まりを告げていく。
武蔵境の人間にLINEしてヨーカドーの横の通りの写真を送ってみれば、即返事が返ってきた。
「きら星までもうすぐですよ!頑張って!!」と。
武蔵境の駅前は、休日だろうが平日だろうがいつも人通りは多めだ。
南口に広がる公園は、その図書館の建築の造形も相まって、とても多くの地元客を集めているイメージがある。
フラフラと自転車を押しながら駅前を歩く。疲れ切った俺の心にもなんだか暖かさが差してくるような感覚を覚える雰囲気すら漂う。
なんだかほっこりしながら駅前を通り抜け、さあバカみたいな豚臭さで俺を汚してくれ。どうか振り向かせることなく俺をLCLの海に…
と思っていたのに、店の前に漂う豚臭さはなく、目の前に現れた張り紙は
「本日臨休」
そんなわけはない。どうか、どうか俺を豚臭さで包んでくれ。深呼吸して昨日の残り香を肺いっぱいに吸い込もうとしても、入ってくるのは花粉ばかりだ。
思い出も香りも、何もかも薄れたと思っていた絶望の淵に立つ俺の目の前に現れた選択肢は一体何だったのか。
表か裏か。
今日ばかりは俺も「裏切る」ことはできなかったのである。
こ、
こ、これは!?!?!?
なんと3年ぶり2回目。表の行列に反して静かな裏。とはいえ店内はどう見ても地元の人間たちで和気あいあいな空気が…漂っているわけはなかった。会話できんからな、今はどこも。
当然ながら俺が選んだのはセットのブツ。これで1000円ってのはやっぱりどう考えても良心的ではないかね。
まずは味噌チャーハンパクっとやれば嗚呼…なんか昔の記憶が全然ないけど、こんなにも味噌が香るご飯って美味しいもんなんですかね。
母の作る味噌おにぎりの味を思い出しつつも嗚呼…どう食ってもこれは町中華だ。
油そばをズルッとやれば嗚呼…やっぱまぁ…表には勝てんわな。
しかし表より濃いスープ啜りながら食う味噌チャーハンは最高。今度からこれ単品大盛り確定だ。
チャーハニックエナジー、補給完了。
サクッと完食お会計軽く会釈して退店!!
家に帰って内職。
夜はバカどもが吉祥寺に来て夢のあと。
今週迫りくる恐怖に抗って俺は。