どうなる
わからん。
わからなさすぎる。どうしたらしいんだ。
全然わからん。昨日あんだけ「愛」だとかなんだとか言っておいて俺は何も理解していないのかもしれない。
愛が二人を切り裂いたストーリーからすでに40年近くが経とうとしている。愛の伝道師ことマーヴィンおじさんは結局愛に振り回されて死んでいった。
明日のこともわからないのに愛のことなどわかるはずもない。
でも唯一わかっていることがある。急に自分に自信をつけて自撮りを上げまくる感じとか。ラーメン食ってもウケないってわかったらかき氷食い始めたり。痩せてた後に他のデブのことをいじめ始めたりする精神的なデブがいたり。辮髪を切られたモンゴル兄さんがちょっとかわいそうだったり。ラーメンよりも「ラーメン食べてる自分が可愛い」と深層心理で思ってるやつは針をあげてくれ。
とかなんだとか言いながら二郎を食った臭い口をどうしようか、なんて嘯きつつ俺は歯を磨いてブレスケアをかじったりしていた。
そういや阿佐ヶ谷の店2件に挨拶しに行かなきゃならない。俺は阿佐ヶ谷いちの自炊おじさんに連絡をし、ちょっとビール屋に着いていくついでに某やきとん屋で一杯やらんか、などと誘ったわけだったが。
そういうときに限って連絡してくるのが人恋しい紫のおじさんだし、家でテレワークしながらスタンバってるのは恐縮くんだったりするわけだから罪深い。
俺たちはすべての想いを抱えながら中央線で大集合をカマし、やきとん屋の前までダバダバ言いながらスキップしてみたら…やきとん屋は真っ暗だった。
愛は盲目だ。
誰も酒など飲んでいなかった。愛を消化するための足取りは非常に軽く、レッドブルを必要としなくても俺たちには翼が生えてくる。
遠く遠く彩の国の端っこに足を踏み入れ、俺達は愛を消費して健康になることを選んだ。
身体の隅々に血液を送り直し、すべての整いを手に入れ、目の前の世界がクリアに見えたと思ったら…
クリアに、見えた…と思ったら、環七沿いのラーメン屋の光まで見えてしまった午前0時前。
俺と紫のおじさんは映画館のサイトを開きながら食券を買い、入店しても画面と格闘する戦士と化す。
そんな俺達もラーメンが目の前に現れてしまえば、従順な下僕と変身を遂げるのであった。
こ、
こ、これは!?!?!?
世の中がすっかり深夜のラーメンを忘れたこの2021年初頭。
禁断の果実をかじった男たちの手に握られたのは希望、そして絶望の槍。
突き刺した先にあるのはLCLの海ではなく豚骨ベースのスープと麺だ。
ズルっとやれば嗚呼…最高に美味い。整った身体に沁み込むポークヘイジースープの浸透圧は無限大である。
ネギぶち込みまくり天地返して熱を加える…俺達は豆板醤とニンニクを投げ入れることも許された。
深夜のラーメン…こんなにも美味いとは。
サクッと完食フィニッシュムーブ軽く会釈して退店。
俺は店の外で初日夕方の回を予約。
完璧に整った。
ラブストーリーは突然に…どうなる!?
乞うご期待。