旅に出る
って歌ってた大学の先輩はいつの間にか失踪していた。
気持ちは分からんでもない。何者かになりたくて、何者かでいたくて旅に出る。
自分探しの旅。これもう馬鹿にされるワードナンバーワンこの上ないフレーズ。
「傷心してインドに行った」っていう、現実ではそうそう聞かないこの例え話ナンバーワン。
何度も言うように俺、このコロナ禍がなければ今もインドにいたかもしれんのだ。本当に夏頃には仕事辞めてインドに行ってたと思うのに。
全ての状況が一変し、何もかもが変わってしまった。遠出するとなればカーシェアで夜に富士丸に行くくらいの自由しか与えられなくなったのは、本当に辛い。
とはいえ9月にも松本までフェス観に行ったりして楽しんでたわけだが。
この余りに余った時間を有効に活用するしかない。将来に対するビジョンもなんとなく見えてきた。俺は人に散々馬鹿にされてきた…ミッションを敢行せねばならない。
そういう思いでGoToを堂々と活用することを決心する。なぜなら税金は返してもらいたいタイプの人だからね。
想像力と行動力、得意な能力を伸ばす…
俺はラーメンで人生を語るしか能がない男。
そんなことを思いながら前日荻窪で痛飲したことも忘れて新幹線に乗ってうちの地元顔負けのど田舎に降り立つ。
わざわざ新潟まで行くっつうなら当然降りるとこはここだろ。
だって俺、アリタコージフォロワーだからね!
人も車も大して通らないところに、明らかにおかしな行列を見た。
これらの人々が全て背脂を求めるのであれば、やっぱ背脂は美味しいのである。
こ、
こ、これは!?!?!?
隣の席で東京の話をしている女子大生たちがワイワイ言いながら背脂を摂取しているところを見てビンビンきた。やっぱり背脂は神の与えしブツなのだ。
見てくれこの雪化粧。これが日本海だよおっかさん!(実家の眼前は思いっきり日本海)
ズルッと…いや、これハムっとやるのが正しいな…ズルッとやれば嗚呼…二郎ともまた違うお麩っぽい麺にアブラまとわりついて最高だ。
しかしスープはスッキリしてる。やっぱりベースは基本の中華そば、これこそ老舗なんだなと思わされた。
餃子は馬鹿デカくて具が俺好みの野菜だらけのブツ。
ライスが平皿だってのがまたいいもんだ。
サクッと完食スープ味わえばようやく煮干し感じた。
完食お会計軽く会釈して退店。
1時間に1本レベルの電車を乗り継ぎ、俺は車窓に想いを馳せた。
車中ずっと喋ってるおばちゃん軍団がいて一切寝られずホテルに着いて一瞬で眠りについた。
いい旅の始まりだった。