誰もがサイエンスフィクションを現実のものとして期待し
誰もがフォースとニュータイプの力に憧れた。
もしかしたらシャイニングかもしれないし、下手すればサイコガンの可能性もある。
当然スタンドを夢見て矢に打たれた人間もいるだろう。
最悪の場合、中国4000年の歴史か範馬の血を求めているかもしれない。
モノリスなる謎の物体が世の中を騒がせている。アメリカはユタ州にて急に現れた鉄板が消えたと思いきや、今度はルーマニアに現れたというから驚いた。
コロナ禍の開始からそろそろ1年。もはや何が起こってもおかしくない世の中になった。なんだかんだ言って俺が東京に来てからちょうど6年も経った。これも信じられない。何も実績を残していない。頭の痛い思いをしている、なんて嘆いていたらいきなりラーメンズの事実上解散。
俺は世の中がわからなくなった。人種差別の問題が落ち着いたかと思えば今度はこれだもの。変な鉄板を移動させるくらいならアタシをキャトルミューティって!ゾンビだらけの街で日本刀を散々振りかざしてからUFOに迎えに来て欲しい。俺もうこんな世の中嫌だ!俺に仕事をくれ!就職させてくれ〜とか嘆いてはまずラーメンズに対する想いを認めていた。
ところでSFといえば。あまりにもレベルの高い世界を見た瞬間に自分自身の存在を疑うという経験もある。
この日はまさしくそれだった。
昼下がりの渋谷。迷い込んだマンションの一室はあまりにも異世界で、一緒に迷い込んだニンニク臭い我々は全員がほほーんなんて言いつつ売ってるものを見ておほーんなんて言って終わると思っていた。
だがしかし。1時間前、俺の真横に座っていた二人はその食いっぷりも良かったが、渋谷のマンションの一室でヨーヨーをいじり始めた瞬間に俺は別世界を感じるしかなかった。
例えばサーカスや中国雑技団の演者たちが目の前にいるように、変態技を見せつけてくる。
久々にヨーヨーを握った。昔の感覚が一瞬で思い出されるのが面白い。俺は、ニンニク臭い口をポカリと開けながらも「なんだできるじゃないっすかー!やっぱり世代の人は出来ますねえ!!」とか言って褒めてくれる元世界チャンピオンに口臭をぶちまけていた。
こ、
こ、これは!?!?!?
矢張り札幌から客人が来るとなれば、俺も久々の三田詣をキメる気持ちになったというもの。
奇跡的に並び5以下。待ってる最中に店の中を覗いてみれば…「ンポロヒ」と書かれたキャップを被る総帥の頭が。
ブチ上がるしかない。例え秋の日差しが俺のラーメンを嫌というほど照らしても。
冷たくなったクタヤサイパクつけば、それすりゃ情緒だと感じてしまう。
豚さん並べてみればこれこそが三田!本寸法!!なんて言って2度目のブチ上がりをみせてしまう。
ズルッとやれば嗚呼…三田だ。完全なる三田のバイブス。
光り輝く乳化強めのスープ…俺これが食いたかったんだな。
たくさんの豚は楽しむ時間もしっかり与えてくれるのが最高。胡椒ぶっかけて堪能した!
サクッと完食フィニッシュムーブ軽く会釈して退店。
なんか尊師ヨーヨーを見せつけられたりNHK前でチルったりしながら夕方まで過ごした。
路上生活者の姿を見かけたり、外国出身者の屯している様子を見ると、生ぬるいことは言ってられないくらいの近い未来の姿を見ている気がしてしまっている。
頑張らねばなと思った一杯だった。