我々自転車族にとってなかなか難しいのが
限界到達地点の設定である。
白状する。昔は神保町まで自転車で行ってたこともあった。吉祥寺からおよそ20キロ。あれ食った後に帰るのぶっちゃけマジ辛かったし、なんかバグが起きて「もう一杯食いたい二郎じゃなきゃ食えるはず」「そして自転車で来たから痩せる」とか言いながらヨツサンに寄ったこともあり、あれ以来神保町までチャリを漕ぐことはトラウマのような気持ちを抱いている。
じゃあラインを設定しようということになる。生物の生息北限のようなものだ。ここまではOK。こっからは無理。あっ、一歩でも入ったら無理ですみたいな頭の硬さすらある気がしている。東中野はいいけど新宿はダメ、みたいな。早稲田はいいけど神楽坂・江戸川橋はダメみたいな。国分寺はいいけど西国分寺はダメみたいな。なんかそういう細かい違いが人生の質を変えていく気がする。いいようにも悪いようにも。
そうするとこの男もどうなのだと。
中野区に住む紫の男は言う。「三鷹は遠い」と。
じゃあ上石神井はどうなんだと問う。「行ける」と言う。
そんなわけわかんないことあるか!
見える…お前の前世が見えるぞ!
吉祥寺にてヨガのポーズでタクシーを止めたサリーの女だ!!
まあいいや。
大した違いはないと感じるものの、幹線道路という大動脈が通る練馬区上石神井だからこそサクッとチャリ漕いできてしまうのだろう。
やっぱり吉祥寺・三鷹はブルジョワの嗜みなのだ。俺はビジネス書を捨てて街を、街を出るのである。
こ、
こ、これは!?!?!?
もはやすっかり慣れたもんである。
極めて自然に着席し、スムーズに運ばれてくる回転力よ。
パクッとやれば嗚呼…どっちも最高にオイチオイチだし肉多いし最高かよ。
横を見てみれば紫の人がブツブツ言いながら涙を流していた。
写真も撮らず食に没頭し始めた時、俺はようやく普通の人に戻れるのかもしれないな、などと感じながら俺は「次いつ来よう」としか考えられなくなっていくのは内緒だよ。
サクッと完食軽く会釈して退店。
紫の人はカレー色に染まっていた。30分後にお腹下したってメッセージきた。
生ニンニクには御用心な。
そこんとこ、よろしく。