昔々、あるところに
遠い店への遠征を極端に嫌う男がいたそうじゃ。
その男。一端の大食らいであることを誇りとし、人間界随一の伊達男として腕っ節を誇っては、コレクター気質のラヲタを相手に
「俺はあなたより杯数を食べていなくとも、あなたより多くの小麦粉を摂取している」などという謎すぎるマウントをとって自我を保っておった。
恐ろしいことにそれは、自意識過剰というやつかもしれない。
遠くに行くのが面倒くさい。なんならもう海外旅行も15年くらい行ってないくらいだし、未だに九州へ足を踏み入れたことがないし、夏フェスについてもフジロックに行くだけで息が切れる。これは高山病的なやつかもしれない。
なんにせよアレだよな…たぶん、マインドがかなり貧乏なんだと思う。
余計なことに人一倍金を使う。なんせ心が荒れやすい。自己ケアが下手なのかもしれないが、飯を食えばある程度落ち着く。
たまに酒を飲むが、それも大酒だ。
煙草をやる。紙巻きタバコを吸うわけではない、ニコチンもタールも少ないものだが、水タバコは時間と金を食う。思い切って家で吸うシステムを導入して良かったと本当に思うが、これもまた色々と面倒なのだ。そして、余計な金を使っていることも認識している。
だからこそ、どうも電車に乗って遠出と言っても、一人の旅行で特急券一つ買うのにお出かけというのはとてもじゃないが億劫である。
これが「女の子と箱根・熱海旅行」とかになれば話は別だ。
さて。そんな状態であれど、何か方々から「明日っぽい」という噂を耳にすれば、私は朝から動かざるを得なかった。
着いてみれば大量の人、人、人であり、我々の少し後ろのところで完売宣告。
ホッとしたな、と思いつつ、並んでる最中には某バズりまくった初対面の人に声をかけられた。
その上、千葉中央駅からの道すがら「お前のラーメン食わせろよ」と声をかけてきたあの人の悪い顔が忘れられなくなった。この日一番の思い出となったことは言うまでもない。
気をつけろ。こないだ誰かもインスタに書いてたが、あの人…めっちゃインスタ見てるぞ。
こ、
こ、これは!?!?!?
というわけで開店おめでとうございます。あんまり縁もゆかりもないアレだが、絶対に外さない店主じゃないかと察知し参上。
小豚でよかった。俺も大人になったものである。
道中で流れてきた食後の写真では非乳化だったが、時間も流れ可成り白濁した奴がお出まししたもんよ。
ズルッとやれば嗚呼…うめえ。完璧。いかにも初日のラーメンっぽい100点満点な仕上がりじゃないか!
特別個性的なものを感じられたわけではないのがこの初日っぽさならではだが、これは今後も期待が高まる。
豚こそはオールドスクールな腕肉ではあるものの、これもきっと三田・西台イズムな「いい豚感」をアレしてくれた。
最後は一味と胡椒ぶっかけて堪能した!
サクッと完食フィニッシュムーブ軽く会釈して退店。
現地集合した千葉県民と軽く会釈をし、俺は都内に戻った。
ステイホームがより一層厳しくなりそうなこのご時世…また足が遠のきそうだ。
なんせ遠い。総武線で一本じゃん、とか言ってられねって。
医療に金を回せ。観光産業に保証を出せ。余ったらまた我々に10万配れ。
マスクは買うから。