神のお告げを受けた
天啓というやつである。
一切の超次元的存在、人間のうちに秘めた超能力、戦争放棄と平和、飢餓と貧困の解消、貧乏人のダイエット(私のこと)…こういったものを信じることが出来ない私は極めて人間的ではない一面が際立つ、と自己を評価する。
神もクソ食らえだし、人間もクソばかりである。
尖っているとか尖ってないとかの話ではない。無邪気なのだ、私は。神なんてのは御伽噺でしかないし、創造主は錯乱していたとしか思えない。
この頃は、何かそこまで生きることを大変にしているのか世間は、と思っていた。だが、今となっては皆一様にダメージを受け、怪我が浮き出てくるスピードに差が現れている。ある者は死に至り、病床に伏せり、身体の感覚を失ったり、孤独を拗らせたり、平穏無事に幸せな家庭を築いたり、何事もなく不倫を続けたり、金があるから不安なことはないと横柄な態度を取ったり、あたかも「私は強者である」という勘違いを振りかざしたりした。
そして俺たちの集合場所はあっという間に多目的トイレになった。
まあなんというか、よっぽど怪しいものを信じ切っているくらいなら、キリストを信じておいた方がいいんじゃないかとも思うんです。アベとかアソウとかコイケよりは。
そういうわけで私は又吉イエスの復活・再臨を待っているわけです。
神頼みでもしないと奴に勝てなかった。
私はこのスープを家で仕込んだ。あれは一週間丸々雨が降っていた頃。
冬、春先と同じように玄関のドアを開けたまま調理などしているからいけなかった。前夜、ぼんやりとした目でアニメを見ながら、なかなか遠のかない自我につきあいながら過ごしていたら、私の胸に何かが飛び込んできた。
訳もわからずに胸をほろってテレビの方を向くと、黒いブツが隙間に入っていったのである。
神よ
この時ばかりは祈った。祈る時間だけがもったいないと私は脱兎の如くコンビニに走りスプレー缶を買った。
部屋のエアコンはまだ起動してすらいない。奴はどこから侵入した…香りにつられて一匹で紛れ込んだとしか考えられない。
ただでさえ心拍数が高いのに、且つあまり家からも出ない時期であったにもかかわらず、俺は深夜2時近くに猛然と戦闘態勢をとった。
室内全方位、隙間という隙間に向けて放つ飛沫。立たない物音。研ぎ澄まされる神経。いつまでも視界に入らない、黒い影。
あきらめかけた時、頭上のカーテンレールをもたもたと走る奴。
勝利を確信した。
丸めた新聞紙に容器が宿り、右手のスプレー缶は、中身を外に放り出しながら内圧を下げていく。
影が堕ちた。床をもがく影を両断する刀。刃先に雷を流した私は完全勝利を収め、19℃設定のエアコンに火を灯した。
あれ以来、ゴミの管理とダブルアップルの吸殻の密閉だけは徹底して行うようになった。お告げの正体である。
そして部屋を片付けて客人を呼ぶようになった。
家に一人でいることが恐ろしくなったからである。
こ、
こ、これは!?!?!?
客人にはTを意識した塩ラーメンを提供した。
もう作り慣れたもんだから、あとは麺だけって感じであった。
私の方はというと…つけ麺である。
一度に2杯分の麺を茹でて同じメニューを作る場合、どうしたって手間と時間がかかるものであるが…つけ麺の麺はよく煮てよく締めろが信条である。
まずはズルッとやれば嗚呼…ちょい太めの麺だが美味しく仕上がった。
つけ汁にドボンして食えばあああああ!!
初回にしちゃあもう上出来だ…醤油だけではなくお酢、アナザー白い粉、そして…ベルの缶スープ(あの味)をぶち込めばマジでそれっぽくなった。
こいつぁいい。ビューティフル。そう呟きながら私は目の前に座ったデカいクマみたいな男から塩ラーメンの丼を奪い取り、味見。うーんこれは…美味しい。
最後はスープ割りまでキメて当然完食#完飲制倶楽部 ブチカマしフィニッシュムーブ軽くお片付けしてチルタイム。
その後、堕落したトドと成り果てた木村師範代は遊戯王デュエルリンクスをやりながら持参したシーシャフレーバーを吸ってずっと寝転んでいた。
早く帰れと思ってたら別の部屋の住人まで来て大変だった。
あたし?あたしはね、まだ夜の幻聴と幻覚に悩まされています。