人生においてラーメン二郎は必要ではない。
何度も言ってきたはずだ。必要不可欠ではない。
必要ではないにしろ…確かに人生の助けになる瞬間はある。大いにある。たかが飯、たかがラーメン、たかがコンテンツ…いや、たかがではないレベルのキラーコンテンツ?である。
そこらの一杯のラーメンとの違いは「2〜2.5杯くらいある」だけである。あと脂っこい。ニンニク臭い。
最近、それを知った。二郎は脂っこいらしい。その事実を忘れていたために俺、どうも頭がおかしい人扱いされていると他人から聞いた。ぶっちゃけ通常のラーメンとはそれくらいの違いしかなく、背脂チャッチャ系とかと何ら変わらん。結局脂身は美味しいし、重い。胃と腸が重い。
どうやら「よく下痢してる」状態は普通じゃないらしい。
それが普通の人ばっかりが身の回りにいるから俺、どうも本当に頭がおかしい人になりつつあるようである。
しかしながらどうも俺の中で最近革命が起きそうなのを俺、ここで一言断っとく。
俺カレーを掘りたいんだ。
だから平日は食べない。ラーメン、特にアブラーメン食べない。俺、神と丸々のお月様に誓った。夜空を仰ぎ月光を浴びていれば頬を伝う涙。
おおそうか、俺は泣いている。どうやらお前もそうなのか。
俺は丸の内線で静かにヒンクスヒンクスと嗚咽を漏らしている女の怪電波をキャッチしてしまった。
「あたし寂しいの。荻窪で飲まない?」
やれやれ。また今夜も長くなるのか。俺は欠伸をしながら俺の肝臓に話しかけた。
「アルコールとアブラ、どっちがいい」と。
よくわかんないけど村上春樹ってこんな感じだろ?
肝臓くんに代わって金髪の男が答えを差し出してくれたのです。その答えは
こ、こ、
こ、これは!?!?!?
ハッハァ、もう豚切れ大ラーメン切れだっつうのに豪快な盛りだこと。
ただし俺の敵ではない!などと答えながら片手で丼を回し写真を撮っていれば
こ、このニンニクの量は…殺す気か…
涙を流していた女が笑う。嘲笑う。異様なことに気がついて…だんだんと怖さを感じていく。
まあまずはニンニクよりもお野菜だよね。いつも通り特製ドレッシング拵えて温野菜サラダっつうかしゃぶしゃぶだよな。
おまけにアブラもまあ細かめのものが大量に。
ニンニク退かして引っ張り出した麺ズルッとやれば嗚呼…安定の荻窪感。安心する。
ここがホームと宣言してもいいんだろうな。帰る実家は他にもあるけど、俺はこの店があって本当によかったと思う。
ブタもまあでかい。重い。隣から「なにそれ」とか言われても気にしない。
アブラもまあでかいのが一つ。「それ口に入れんのかよ」とか言われてもまあ多少傷つくくらいで済む。
うめえ…アブラあめえよ…とか言って余計に引かせるくらいの余裕はある。
しかしニンニク多すぎた。バリボリ食える二郎ってマジ初めての経験じゃないか。
サクッと完食フィッニ…
食い切れず隣で悶える女子のどんぶりを優しく包み込み「よく見とけや」とか言いながら俺は2口で食い切ったらしい。
サクッと完食フィニッシュムーブ深々と会釈、して、退店。
女は「くせえマジくせえ自分の口」とか言いながらテンションを維持し、仕事の辛さを紛らわしてた。恐るべきことに俺の口は多分5倍くらい臭かったはず。
私脂っこくてもういいや二郎は、と言った女に俺は
「君は選ばれなかったんだな」などと言っていた。
残酷なデブのテーゼ