待ち人来ず。
来ぬといっても来なかったわけではなかった。こないだも話したが、私は極めて時刻通りの男であり、その正確さたるや「不安障害だろ」と言われるレベルのもので、なんとまあそれも塩梅よく10分前くらいに到着できる。
特殊能力の持ち主というか、先読みが上手なだけかもしれないとか言って自画自賛するのもまた私の悪癖の一つだ。
そう、私はまた待たされていた。その予感がしたのは退勤したタイミングで連絡を入れた瞬間である。高円寺で一人飲みをしているという私の妹(血は一切繋がっていないし戸籍も繋がっていない)がその特殊能力「人に可愛がられる」を発揮し、出会った人と飲み屋に、などと宣い始めた。ドラァ己21時で了承しとったやないけ、死んで、いやむしろ俺と一晩寝ろなどと心の中で叫び散らしたところでどうなるわけもなく、はいはーいとだけ伝えて私は当然高円寺から離れた。
当たり前だろう、この日は火曜日だ。
俺は男の約束を交わした店に行くしかないと思っていたのだが、運命のいたずら、お互いにとってウィンウィンな関係というのはこういうことを言うのだなぁ。
ウィンウィンって卑猥だよね。
そんなわけで小走りで野方まで爆走。到着すればぴったり待ちなし。ブチ上がった俺は22時には高円寺に戻ると連絡。程なく入店当然限定800円購入。
魔が刺してぶたごはん。っつうか刺さないことの方がまずない。その「ぶたごはん」という魔法の言葉は爪楊枝と水ようかんのようにズバズバと俺の心に突き刺さるのである。
こ、こ、
これは!?!?!?!?!?
蜂屋のごとき濃さの色…ってそんなレベルじゃねえ!なんじゃこりゃ悪魔ラーメンもびっくりの醤油色!!
カァー、参ったね…これはライス案件だったね、などと一瞬でSATORIつつも
「君は醤油色」に染まっていったことは否定できない。
菊水レペゼン西山製麺引きずり出してズルッとやれば
嗚呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼!?!?!?
なんじゃこりゃ…札幌、旭川あたりのオールドスクール北海道ラーメン…を5倍濃縮した旨味と塩分だ!見ろよこれ。染まってるんだぜ。
美味すぎる!!が、俺ここまでのブツ、心の準備ができてなかった…ぶたごはんが救いではあった。
ニンニクぶっかけさらにブースト、ぶたごはんは無事に単品で終了。
そういう時にデブならどうすればいいかというと、
店員さんに直接100円を握らせ耳元で
「ライス❤️」と囁くのが男の生き様よ。
生まれ変わった白ごはんに醤油ドン漬かりのブタ、ふつーのブタを乗せて堪能した。いやー、やっぱ札幌ラーメンの遺伝子って総じておかずラーメンよね。
サクッと完食フィニッシュムーブ深々と会釈して退店!!
予定通り22時高円寺バック。待ち人来ずパル商店街で酔いどれシーシャ軍団に遭遇するも「ツレが来るから」と断り俺は45分遅刻をした妹に
「くせえ!ニンニクくせえ!」と罵倒された。
やはりこの女。お持ち帰りするしかないと家に連れ帰ろうとしたら何故か、いつの間にやら変な男にすり替わっていたのはここだけの話