二日酔いに効く薬が必要だった。
絶対に必要だった。
去年のインスタ投稿を見てみた…去年の天皇誕生日もクソ酔ってたんじゃねえか俺…
前日。以前から計画していた「自作がんこ」をやるべく、21日は半休をとって準備していた。22日は小金井でラーメンを食った後はひたすら仕込みをしていた。メンマとベースになる獣系スープを煮込み、チャーシューもつけていた。味玉は20個仕込んでいた。
そして俺はいつも通り3時過ぎまで起きていて朝、というか昼、がんこに行った。アンコウの香りを堪能した俺は忘れ物と引き換えに、家にがんこ臭を迎え入れることになる。
この香りがあれば俺のスープももう少し芳醇な魚介の香りに包まれたかもしれない。
そんなことを思いながら朝、起きた。
起きてみたら某ラヲタ・トンカツ狂のドープな人から乗り換え案内のスクショが届いていた。俺はそのスクショが送られてきた10分後にガバっと起き上がり、トイレに駆け込み便器と友達になってからお風呂に入って家を出た。
中野駅では「宇」のキャップをかぶった男がいた。
俺はメリークリスマス、と声をかけてNewDaysに駆け込み、ソルマックとポカリを買って即刻ソルマックの瓶を親指でへし折り花山薫ばりに口に流し込み、矢鱈と人の集まった中野サンプラザ前からバスに乗った。
クリスマスに男子二人が集まってみれば、浮かれた毛唐の祭りの愚痴で盛り上がるものだが、「いやぁ今日明日は仕事とか言っててサァー」なんて言われて俺はふつうに一人で寂しい気分と二日酔い由来の胃のもたれを堪能する羽目になった。
着いてみればそこは激辛党の大集会と化していた。異様な光景、と普通の人なら思うだろうが、俺の目から見たそれは「明らかに二郎・がんこの並びの雰囲気じゃねえ」というものだった。
接続してみれば見慣れた桜台の巨匠もやってきて軽く会釈。ワイワイしているうちに15分前に開店。店前の方に移動して初期入店の皆様が店から出るのを待ちながら、俺は目の前にファズギターロックスターが接続するのを見ていた。
出てくる人間が皆、須らく異様な汗をかいているのを確認しながらも
「まぜそばかな」「つけ麺とまぜそばどっちも頼んじゃおうかな」
とかふざけている人を尻目に俺は入店した。
すでにむせ返るカプサイシン臭。嫌な予感がしながら食券も買わずに奥に進もうとした俺は明らかに焦っていた。店主は優しい、優しい顔つきで見守ってくれていた。
こ、
こ、
これは、、、、、、、、、、、、、
真っ赤、どころか「茶色」じゃねえか、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
見た瞬間から戦慄した。一瞬で脳内の水分が抜けた。
こんなん俺…食えるのかよ、、、いつぞや北極5倍を食った時よりも震えた。
一口すすれば…いや、もう啜るのも怖かった。一瞬で気管に唐辛子の侵入を感じるほどのブツだが…うめえ。めっちゃうめえ…辛味の奥に確かな旨味を感じるぞ!そしてもう辛みしか感じなくなった。
トナカイの怒りが俺の怒りを完全に沈めてくれたのである。
しかしながらこの!立派なウデ肉!!俺これが楽しみだったんだよな…そんじょそこらの二郎よりも美味いかもしれんぞこのブタ!!完璧な肉質、脂身、そして辛さ…こんなにご飯に合うブタが今まであったろうか。いや、ない(反語)。
箸休めに絶対に必要と思っていた生玉子は…どう考えても1個じゃ足らんかったな。あっという間に紅に染まっていった生玉子を見つめて俺は「人類に逃げ場なし」を感じていたのである。
なんとか麺とモツを食いきった…ギリギリ勝った…とか思ってたら向かい側からレンゲが伸びてスープを掬い、彼は口の中に運び込んでいったが…神は矢張り残酷であり、彼はその後腹痛で寝クリスマスを過ごすことになった模様だ。
ギリギリ完食ブタとごはんにFGぶっかけデザートのごとく堪能した!
フィニッシュムーブ省略呆然とした顔で店主と見つめ合うもめっちゃ笑われて救われた気分で退店!!
外に出て頭を通り抜ける風に冬を感じつつも、目の前にいたファズスターととうとうご対面できた喜びで飛び跳ねながら
丸正で飲むヨーグルト1リットルを買い、私はヨツサンに向かった。丸正姉さんは今日もいなかった。
いやー、昨日暖かかったからなー、
とかいいながら上着を受け取ったら家元に「あったかいわけないだろバカ!」と叱られたクリスマスイブ。
俺は幸せだったと思う。
たぶん。