不倫
それは罪
私は禁断の果実、アダムの林檎に手をつける癖があり、その最たる悪行は「友人の女を二郎にハメる」という"The Ultimate Sin"の慣行である。
以前、1人の女を手篭めにした。
富士丸にまで連れて行ったのだから、もう洗脳から覚めることはない。
そうすることにより、数ヶ月に一度は「食べたいの…貴方の「アレ」を…」とか(LINEの向こう側で)顔を赤らめながら(見えてない)言いだすようになるのである。
先週からずっとドキドキしていたのは私、ただその、『貴方の「アレ」』とはナニ物でもなく、あくまで俺の好きなラーメン二郎のことである。
久々に乙女にお見舞いしてやるのはどんな二郎がいいだろうか。求めているのは量ではなく、その罪の味だ。食った後の罪悪感を楽しめる人間を、俺は蟻地獄に叩き落としたい。
しかしながら疲れた俺は、欲しがり屋さんを食いなれた味に誘うことにしたのである。
致し方なかった。私の仕事が思いっきり遅くなり、到着した時には近年の荻窪とは思えないほどの行列。こうなって仕舞えば二郎を愛する者としては喜びを感じるものであり、閑散としている二郎に行くよりは混んでいることを喜ぶようになるのはそう、愛する者としては当たり前だ。
しかしながら…天沼陸橋から吹き下ろす風は、いつも冷たい。朝から寒い寒いと人々を凍えさせた日であればそれ、なおさらのことである。スーツを着て馳せ参じた私の横で、このうら若き女性は非常に暖かい格好をしていた。当然ながら暖めあうこともなく、ただただ心温まる会話でその場をしのいだ。
だが、20人以上の行列でもサクッと入れてしまうのはこのogkbの高速回転のなせる技であり、私は、空腹の極みを感じながらこの灰色の食券を買ったことを一切後悔することはなかった。
こ、
これは!?!?!?
大小同じ丼であってもここまで盛られれば、文句など何一つない。
今日も美しい盛り、射す光の美しさ、アブラの輝きは他の二郎には見られないものである。気持ちがビンビンになりつつも俺はまず、やはり温野菜をポン酢で食ういつもの流れは絶対にブレない行程として楽しむのだ。
豚も変わらず美しく そして耽美さすらも覚えるものだ。
アブラ。荻窪での脂身は当然、その攻撃力よりも美しさが勝る。
豚とアブラを退かして天地返してズルッとやれば!!
濃厚ogkb汁を含んだこのビロビロ麺は俺の仕事の疲れを吹っ飛ばす魔法をかけてくれる。
最近ogkb上ブレ確変説が飛び交っているが、私は声を大にして言いたい。
進化はしていても本質は変わっていないのである。
アブラを戻しニンニクを添えてズルればもうズビズバるしか生きていく方法はない。うーん、どんどん麺なくなっていくなぁなんて感覚は当然なく、しっかりと、そしてじっくりと私の胃を満たしてくれるのだ。
当然最後は生玉ディップからの坦々麺化で堪能した!!
ゲホゲホ言いながら食うこの最高のラー油パフォーメンスはもう、俺の心を離しはしない。
サクッと完食フィニッシュムーブ軽く会釈して退店!!
帰りはまいばすけっとでお金を崩したり、林檎を二個買ってその淑女に手渡し「アイツと食いな…」と言い残して私は西へ向かった。
偶然そのアイツは日付変わって誕生日とのこと。
こういうところが俺の褒められたところだ
と言っておく。あくまで偶然だがな。