「敗北を知りたい」
そうして俺は秋葉原に向かった。
文字通りの敗北…ではなかった。単に4時間仕事をするだけで終わった。余計なことは何一つしなかった。与えられたタスクと積まれた仕事を片付けた。俺の今日の最後15分の仕事は「オフィスの掃除機がけ」と「空気清浄機のフィルター掃除」であった。重要だぜ!?たった15畳の部屋の空気清浄機なんか死活問題だろう。これで社長の咳も治る。
そんなわけで。秋葉原で仕事を終えたのにその後あれこれ動いてたまにしか食えないラーメンを…とか考える頭は俺にはなかった。
「いつもそうだ。君達はいつも…つまらぬ勝利をもたらしてくれる」
そういう店に行くつもりはなかった。
「小生 敗北を知りたく 神保町に向かうところなり (脳髄)空師 ケイキリヲ」
会社に書き置きをして俺は一駅先まで電車で向かった。
俺を刃牙中毒に追いやった小柄な男まで神保町にやってきた。気が早かったのは圧倒的に俺の方であり、13時半集合…とか言いながら俺は15分前には到着し、その間に一気に20人ほど増えた行列を眺めて待っていた。
キリヲが危ないッッ!!そう叫びながら彼は時間通り行列に接続したが、俺は後ろにくっついた小柄な男の身を案じていた。はっきり言って危ないのはこいつだった。待ち時間1時間…小柄な男はタブレットでバキ第1話を見ながら笑っていた。
「ナーニヲボンヤリシテンダヨォッ!!」
そう言いながら店主は茹で釜にボンボンと後入れ麺をぶっ込んでいった。横にいた男は完全に硬直していったのである。
前回覚えたアブラカタマリコールをして厨房を見ていたら浴びせる!?ぶつける!?えッッッそこから出てくる…?
なんかカエシの容器から怪しいものが出てきた…
こ、これは!?!?!?
お、おう…
うーん、豚、めっちゃうまかったんだよなこれ。
そして浸かった豚とアブラAZMS!
「これはレアだぞ」と語ってもらえた。たまに常連さんでもらってる方がいたのが羨ましかったのだが、嬉しいやつだった。
他に大ラーメンのお客様もいたせいか、今日の盛りは至って平和なもの。
麺をひっくり返してズルッとやればやはりこの香りは俺のラーメン観の原点だ。仕事終わりなら感動もひとしお。勢いよくバキュームし、ニンニクも混ぜて食うと本当に、これ以上美味いものはこの世の中には存在しないと思えるものだ。
しかしながら手は!止まることなく!!5分間の無呼吸運動の如く麺をすすればあっという間に消えてしまった…
カエシ浸かり最高の豚とアブラを堪能すればやはりここが俺の地下闘技場。
この日本…二郎に生きるなら誰でも神保町を知っている。
サクッと完食フィニッシュムーブ「まだやるかい…」をいただき深々と会釈して退店!
片平恒夫巡査が出てくるほどの戦いではなかった。
帰路、歴代最多麺量に悶絶した小さき男は青梅特快で土下寝をカマしていた。
ヨーイドンでしか走れぬラーメン二郎の戦いを堪能した!
最高に美味かった。お茶AZMS!