人はなぜ二日酔いになるのか
簡単である。己の限界を知らないから。
ではない。
アルコールはドラッグである。どう考えても危険ドラッグだ。
なんせ理性的であるはずの人間から理性を取り除き、己の限界を超えた行動を引き起こす。普段は優しい人なのに、急に暴力性を増す人がいる。
普段はしゃきっとしているはずの人が、気持ちよさそうにとろけた顔を見せて今にも寝そうな顔をする。もう飲めない、と思っているのにアルコールで脳が壊れた瞬間からさらに飲んでいる俺もいる。
こんなもんどうやって自制せえっちゅうねん。
また中毒の話か、と思ったあなたの顔がすでに浮かぶ。
この世に蔓延る自己責任論ほどクソなものはなく、さもすればなぜ国が存在するのか。なぜ侍は腹を切るのか。俺にはよくわからん。何でもかんでも自己責任論、しまいにゃ皆保険もなくなり、老人たちは甘い汁を吸い、不労所得者はブクブク太っていくのでしょう。骨と皮になってまでこの世への執着心を燃やすというのなら俺、いっそ介錯仕りたいのである。
そんなことを考えているうちに身体から毒は抜けていく。やっと落ち着いたとか言われながらバカにされながらも朝を迎えて無駄に早く家を出れば
おやおやお医者さん。血圧上がるラーメン食べたい?
が合言葉の俺らだ、そりゃ一度は食わせてみたいと思うのも当然だろうよ。
こ、
こ、これは!?!?!?
なんで大盛りにしちゃうんだろうな。俺二日酔いじゃん若干、なんて思いながら朝まで飲んで完全にまだ酔った状態で特盛を完飲したあの朝のことを思い出した。
悪魔肉も気合十分だ。
ズルっとやれば嗚呼…サイパンというには柔めな麺に旨味たっぷりなエキスが…美味えけどボディ弱えな。油脂分の足りなさだなこれ。やっぱ豚の出汁減ってんのかなー、などと思いながら。
なんか異様に気になっちまった。
カエシぶっ込んでみればやっぱりエグさブースト。塩分って偉大なのね、なんて思いながら悪魔肉をツケダマにぶっ込んですき焼きしたり、唐辛子ぶっ込んだりして堪能した。
サクッと完食フィッシュムーブ女将さんと友人を話しさせて退店。
食ったことない味だったろ、と伝えると嗚呼、と答えた。言葉少なげに、こいつもまたアルコールの被害者だ。
そう、なんか酒由来のボディも弱い気がしたんだよなぁ。
素人の詮索ほどダサいものはないからこれくらいにしとこう。