愛なき世界に帰ってきた
そんな感覚だった。
東京に戻れば現実が待っている。平日という地獄を過ごす日々が再び訪れる。もう週末に旅行をすることもなくなる。
あまりにもレアな日々だった。三週連続で旅行をしたなど、今後もまずないだろう。京都に行ったのはもう遥か昔のことのように思える。沖縄もそう。札幌は俺が東京に戻った後、案の定大雪に見舞われているらしい。
みんな雪まつりの準備で雪かき集めては苦労していたのに、こういうことするから冬ってのはさぁ。飛行機が飛んで本当に良かったと思う。
ところでだ。羽田空港からのバスってすげえ楽だな。
今までほぼほぼ電車で帰っていた。なんだかんだ言って立ちっぱなしになることも多く、俺はそれがとても不安に思えた。俺は自分の体調と相談をし、飛行機を降りたら吉祥寺行きのバスに乗ろうと、乗り場を探
…目の前にいた。
そして俺の膀胱はリミットを迎えようとしていた。
焦る俺。乗ってしまう俺。どうしようとGoogleマップを開き渋滞情報を見る。おそらく経路と思わしき道は空いている。俺、頭がどうにかなりそうだ。北海道という寒いところから帰ってきてどうして縮むのだ、膀胱よ。
そう問いかけ禅問答をしているうちにスヤァ…と寝て気づけば高井戸まで来ており、定刻より30分も早く着いた。
吉祥寺民なら皆わかる高架下のバス停でバスを降り、俺はそのままトイレを借りにごめんください、と、食券機に一礼して入店したのである。
こ、
こ、これは!?!?!?
もう半年も来ていなかった…吉祥寺の台所。俺の専属料理人。覗き込んで居なかったら諦める。そんな彼に会うのがまた東京に帰ってきたアレである。
ズルっとやれば嗚呼…濃い。濃いぜ。中華そばと言いたくなるようなチューニングがうまい日もあるがこの日は濃かったしお醤油の濃さも最高。硬めの麺も最高だ。
安心する味だ…新千歳空港で食ったフェイク味噌ラーメンのことを完全に忘れられた。
ニンニクとゴマぶっかけて堪能した!
サクッと完食フィッシュムーブ軽く会釈して退店。
疲れ切ってるのにもかかわらず高円寺の美容室から呼び出しを食らってラーメンの話をさせられまくった。
マジで現実に戻れなかった。