「まだ半分ですよ」
我々は、そんな言葉に気を遠くした。
中央線から武蔵野線へ。新秋津でバカ1人を回収し仲良く隣に座りあって南越谷までテキトーに会話。長かった。乗り換えて越谷駅へ。
駅前のロータリーでよさこいソーランの大会みたいなのをやっていて、時期もへったくれもないわなとか思っていたが、
元100kgの男ジマは
「あれ阿波踊り?」
とか言っていた。
こうして戦争は起こるのだと思う。
そんな埼玉に馴れ親しみもない我々はその荒野の広さを、完全に読み違えていたのである。越谷駅からイオンレイクタウンまで歩くことを試みたのだ。
なんせ9時50分に整理券もらって「11:30」とか書いてありゃそんなんじっとできるわけもない我々。テキトーに歩いていたが、10時40分の段階で私は危険を察し「戻ろう」と。
奴らはバカだからわかっていなかった。えー?どうにかなるしょ、レイクタウンに足一歩踏み入れてからにしようぜ、と悠長なことを言っていた。ならもっと早く歩けという気が無いわけではなかった。が、ジマはメンタルがわたあめ並に弱いやつなのでグッとこらえた。
そうしてデカめの声で話す我々の背後から忍び寄った自転車の主は貴婦人だった。ダウンコートを着てママチャリにまたがった貴婦人が通りしなに、言った。
「まだ半分ですよ」
これは決して地獄への招待状ではなく、私は女神に、救われたような気分であった。
さくっと道を引き返し、旧荒川を散策したりして店の前に着くと、スムーズに入店できた。整理券制最高じゃね?
何事もなく私は、この時点で何事もなかった私は、麺量550gと書かれた大ラーメンの食券のボタンを押した。550gなら余裕なのだ。
背後霊を経由してゲットした椅子はL字長腕の中ほど。
何事もなく厨房の奥の壁を見つめていた俺に、確かに聞こえるように、店主は目線を俺に合わせたまま助手さんに
「真面目に大盛り作んなきゃいけないから」
コエエエエエエエエエエエエエエエエエエ
わあああああああああああああああああああああああああああああああああ
思わず俺は勘弁してくださいよとはっきり聞こえるように言った。
嫌な記憶蘇りまくりな俺は急いで上着を脱いでストレッチを行い、心の平静を迎え入れようとしていた俺に店主は直接言った。
「ウォーミングアップなんかして。ラーメン食いにきただけでしょ」
「550グラム。550gだから。大丈夫。」
世の中にはこんなに信用ならない言葉があるのか。
そう思っていた私はなんだか申し訳ない気持ちで今、いっぱいになっている。
こ、
こ、
これは!?!?!?
や、、、恐怖は安堵に変わった。これは美味しく食える量だ!!
550gは本当だった…のか!?見た目完全に小金井最終期!
ブタは神保町ライクでストロングスタイルなブツ!
アブラは適量。一之江を思い起こさせるブツだったわね。
天地か…え、、、やっぱ多いやんけこれ…
ズルッとやればアーン俺これ食いたかったんだー!三ヶ月もお預けだったのツラかったよー!とかいいながらズルズルが止まらない。
底たまりのカエシを湧き上がらせれば汁の具合は完璧だわ。
そしてブタの感じは矢張り大当たり太゛郎!!
同行2人はハズレ引いたとか言ってたが俺のは完全に俺好みのブツ。
うーん後半若干重かったが堪能した!
大満足完食フィニッシュムーブ深々と会釈して退店!!
体感何gとか言っても全然あてにならないからアレだけど
「まだ半分ですよ」
そう言われた気分になったわ。
…でも遠いよ越谷…
開店おめでとうございます!