百年の恋というのは往々にして一瞬にして沸騰するものであり
沸き立ってからはじわじわと熱が冷めぬものが大抵なわけであるわけで、5週間をかけて偉人を−196℃まで冷やしていくのにも敵わぬほどの熱を帯びているわけである。
それは一つのキス一つで魂まで持っていかれてしまうのが恋の行方だ。突沸を迎えるか、氷河期の怪物のように氷漬けにされるかのどちらかだ。
断言しよう。
俺は叶わぬ賭けをするつもりはない。
挑む勝利には勝ちを約束させるのが俺の精神性であり、それを貫いてこそ得られるものがあるのだ。
それが快感というものであり、瞬間の悦びを、なによりも大切にしてきた。
しかしながらその悦びを「また来る」と想っておかねば、生きている意味などあるまい?
君ならどうする
意思の疎通が取れぬ相手にならば両手を上げて降参するほかないが、何か通じ合う相手には常に語りかける「自分の言葉」を持ち、それがどんな意味に捉えられようとも、俺の言葉はその頭脳内を超えて伝達するものがあるのだ。
この日の俺は賭けに勝った。
行き先はただ一つ
山手通りにそびえる黄色い看板
ここ最近の俺はいつだって勝負に出ているが
それが勝ちとなって現れたのであった。
こ、
これは!?!?!?
目黒は小こそ至高と声高らかに叫んだ俺の目の前に現れた大ダブル…麺量すんげえ!
そして見てくださいよこのコラコラ具合!!
これに当たるともう何も言うことなし。美味しいものを食べると、人って、ため息ついちゃうのなんでかね…
この完璧なまでに目黒な豚を眺めては「この…豚野郎…!!」と叫ぶ他ない。
この盛り…
ほんとに目黒かよ…とか思いながら俺は醤油ぶっかけてヤサイとコラーゲンを食らって肌と唇をテカテカにした。
麺をずるっとやれば嗚呼…俺求めたのはこういうツルプリの麺じゃなくてもうちょいこう、ゴワっとしたの…とか思ってしまったのもつかの間、その至高の目黒汁が口腔内を満たせば最早確変待った無し!!
ウンメェ…完全に勝ちを得た上ブレだ…
そう叫んで(心の中で)俺は右腕を天高く上げて全世界の歓喜を浴び(るような妄想が脊髄をすり抜けてケツの穴から通る電撃に酔いしれ)た。
もはや何も言うまい。
俺はフーフーする行為をいつから忘れたのだろうと言うことを考えながら当然サクッとフィナーレを迎えた。
ギリッギリ完飲回避で完食フィニッシュムーブ深々と会釈して退店!
勝利を感じる権之助坂行脚で人々の熱狂(飲み会終わりで店の前に溜まる若者どものウザさ)を感じ取りながら山手線を目指した。
帰りは東松原の紫陽花ライトアップを見る余裕もなく俺は携帯片手にニヤニヤしたのだ。
堪能した!