2017年8月13日(日)
嗜好品とは「これが好き」と決め打って楽しむものであり、あれが好きこれが好きと目移りしているうちはそれは嗜好とは言わない。例えばタバコなんかはわかりやすい。人は決まったものしか吸わない。買わない。もらいタバコは…する。一般的なビールなんかもそう。スーパードライしか買わない、黒ラベルしか買わない。飲み屋に入ってキリンしか無かったら…飲む。
そういう好みは誰にでもある。
ラーメン屋に関してはどうだろうか。
街のラーメン屋に入ってラーメンのメニューが複数あれば、人は大抵「好みのもの」を決めて頼む傾向にあるだろう。
だがしかし、ラーメン二郎なんかは違う。メニューが大抵一つしかない。ラーメンか、あっても汁なしかつけ麺だ。だがさらにbutしかし!ラーメン二郎は趣味になることが多い。ここに趣味性が介入してくると話が一気にややこしくなる。
そもそも「趣味」と「嗜好」をごちゃ混ぜにしてしまうのもどうなのか。グーグル先生に聞いてみれば「嗜好」とは主に飲食についてのことらしいが、食事や酒が趣味になっている場合は…
ややこしくなってきたのでここからは俺の趣味の話をする。
この店に行くという行為は、ある意味趣味性の強いものである。嗜好、というにはあまりにも選択肢が複雑で、「カニが好き」とか「貝が好き」とか「亀が好き」なんていうのもあったりするし、「ヤク中」っていうのもある。まさに戦いの万華鏡、ラーメンのワンダーランド、スペシャルラーメン名勝負数え歌!だが…こんなにまで俺にとって、俺の趣味ストレートなスペシャルラーメンはなかなかなかった。カニに加えてホタテ干し貝柱1キロ。俺は店に着く前にすでに身体がカニ臭くなり、四角い顔がいつも以上に角ばっていた。
そんなわけで昨日の続きだ。こんなにも、こんなにも素敵な具材のラーメンがこの世の中にあって良いものだったのか。
丼の中心で俺は愛を叫びたかった。
一口、啜った瞬間にそのエグみと旨味が、昨日とは明らかに異質な味わいが脳を痺れさせた。そう
長く甘い口づけを交わす
深く果てし無くあなたを知りたい
Fall in love 熱く 口づけるたびに
痩せた 色のない夢を見る
完全に記憶がぶっ飛び気づけばKKブチカマし家元に深々と会釈して退店!
…至福のひとときに浮世の切なさと生の苦しみをむしろ実感させるような辛さが襲ってきた。
美味すぎるという事実は罪深いものよ。美しい女性と一緒。
だからこそ「嗜好」とは程遠い、「崇高」なる世界なのだ。
そう、これは私の恥のアーカイブ集である